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「―……」


屋上のドアは閉まっていて、鍵がついたまま放置してある。




…まさか、こんなとこにいないよね?

―鍵、閉まってるし。





臨也は半分冗談交じりに、その扉を――































気がつくと、少し意識を飛ばしていたようだった。

覚醒すると同時に、目を開ける。




あれ、なんでこんなに身体が痛いんだろ。

てかここ、何処?家?







―って、折原君!?






その憎たらしいほど整った顔が目に入った途端、状況を思い出す。



―そうだ、私、殴られて、屋上に…。

…あれ、でもここ、屋上じゃない…?


てか、何で折原君が?





さまざまな疑問が思い浮かぶ。


口を開こうとすると、私の様子に気付いた折原君が湿布を切る手を止めて話しかけてきた。






「俺の声、ちゃんと聞こえてる?視界は?ぼやけてたりしない?
俺のこと、解る?」

「え、…うん、解る…けど」

「鈍痛以外に痛い所は?」

「…ない、と、思う」

「そ、ならひとまず安心だね。けどもうすぐ医学齧ってる奴が来るから、それまで安静にしてて。
俺は詳しくないからね。悪化させないようにするのが精一杯だ」

「えっと、あの…折原君?」

「何だい?」

「ここ、どこ?」






まずは現在地から聞いてみることにした。


明らかにここは屋上じゃない。私の部屋でもなければ、保健室や病院でもない。
普通の家の、普通より少し簡素な部屋。


そこのベッドに私は今横たわっている。…はずだ。






折原君は何でもないように答えた。







「俺の家の、俺の部屋」

「……え?」






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