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―遅い。




折原臨也は不機嫌MAXで昇降口のある人物の靴を睨み付けていた。


別段その人と約束をしていたわけではない。
一方的に相手を待ち、一方的に怒っているのだ。





たとえ級長の仕事があったからって、いくら何でも遅すぎる。

俺に付きまとわれないように早く帰ったならともかく…遅くまで残ってやり過ごすなんて効率が悪い。



―それに。彼女らしくない。




えみちゃんは何より体裁を気にするからねえ。








…本当は、誰より弱い癖してさ。










臨也は溜め息をつくと、えみと自分の靴を持って校舎を歩き回った。









「―――」

「――――」

「「――キャハハ…」」






職員室を通り過ぎるとき、女の子達が数人で固まって笑いあっているのが見えた。

まるでここにいない誰かを嘲笑うような。



その中の一人、臨也が好きだという噂の女の子が一際嬉しそうにしているのが少し気になる。








「……」




…なんか、嫌な予感がするっていうか、あの子の顔見てるとイライラするなあ。













少し考えた後、その集団が降りてきた階段―

―屋上へと続く階段を上ることにした。






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