おまけ
□進路相談室
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「水瀬くん。いつも同じ質問するけど、何で呼び出されたか解る?」
「いや覚えてないっすね。わかりません」
「毎度毎度懲りずによくもまぁ…。
とにかくね、先生、君が頭いいの知ってるんだよ」
「神童で有名ですからね俺」
「褒めたのは先生だけどそんなに思い上がられても困るんだけど…。
まぁいいや、あのね、真面目にテスト、受けて欲しいんだよね。君の将来の為にも」
「なっ…俺はいつも真面目ですよ!前回怒られたとこも直しましたし!」
「うん、やっぱ覚えてるんじゃん…。
まぁそれでね、うん、先生も成長は確かに感じたよ。でもね…」
●前回●
問
『太郎さんは自転車で3キロ離れた駅に10分かけて行きました。
自転車は分速何メートルで走っていたか答えなさい』
正答
『分速300メートル』
水瀬の答え
『テレビでよく分速測るやつあるじゃん。
あれ持ってもっぺん走ってこい』
●今回●
問
『太郎さんは自転車で6キロ離れた駅に20分かけて行きました。
自転車は分速何メートルで走っていたか答えなさい』
正答
『分速300メートル』
水瀬の答え
『テレビでよく見ません?分速測定器みたいなやつ。
あれカゴに入れてもう一回走ってきたら解ると思いますよ』
「敬語にされても…!!」
「先生、もっと別なところに成長感じたかったな…!
あと前回も言ったけど問題文と会話しないで…!」
「だって先生、実験に誤差はつきもので、数字上でいくら計算しても一致しないと思うんです。
だから実際に測った方がよっぽど建設的だと思うんすけど」
「うん、あのね、それは正しいんだけどね、これ計算式が解るかどうかのテストだから」
「大体いつも思うんすけど、問題文がいちいち命令形なのが気に入らないんですよね。
求めよとか答えなさいとか。命令していいのは大いなる母、つまり神か実母くらいですよ。
神に求めよ、さらば与えられんとか言われたら全力で求めますけど、こんなちんけなテストの問題文に命令されてもねえ」
「そのちんけな問題すら正答出来てないんだよ…?君は」
「いいんすよ先生。別にそんな問題文に屈服しなくても生きてけます」
「卒業出来るかは解らないけどね…!」
「え、今時留年制度とかあるんすか?都市伝説じゃないの?」
「あるよ…!しかも君の結構身近に迫ってるよ…!」
「うーん、やべぇ。先生、どうしましょ俺」
「真面目にテストを受けてください…!」
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