dream

□星の下で
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『ねーちゃんねーちゃん!』


3つ年下で幼馴染の金太郎から突然の電話。時刻は夜中の2時。
熟睡してるときに起こされたのだから怒りたい気持ちで山々だった。が、金太郎の妙に張りのある元気な声がそれを阻止した。



『今から外出てきてや!』

「なんで…寝る」

『いーいーかーら!寝たらチューしてでも起こしちゃる!』



と言って電話が切れた。
別にチューされても良い。私は金太郎が好きだし。
(向こうは…知らないけど)


色々と考え、仕方ないな…と私はパジャマを脱いで出かけられるような服を着る。なんだかんだ金太郎には甘い自分。
玄関を出ると夜風が涼しく、眠気も少し飛んでった。



「ねーちゃん!」



思いっきりちゃりんこをこいで来たのは金太郎だった。
乗って!と後ろの席を指差した。夜中の二人乗りは流石に怖いんですけど…



「早く、早く、見れなくなってまう」

「何か見に行くの?」

「ふふーん、それは着いてからのお楽しみ」



金太郎の後ろに乗って、きゅっと肩に掴まる。
ほないくで〜、と金太郎は思いっきり自転車をこいだ。


坂をのぼってはおりて、のぼってはおりて…たどり着いたのは、芝生がどこまでも広がっている公園だった。
自転車を下りるなり、私の手を握って走り出した。



「ねぇ、こんなとこになにが…」

「ビンゴ!ほら、上!」



見上げると、流星群が空を駆けていく。


思わず息を飲む、とはこの事なのか。
すごく綺麗で、言葉が出なかった。



「わざわざここまで来ることもなかったんやけど…まぁ、ビルとか家とか無い方が見やすいかな思うて」



汗を流しながら、無邪気に笑う金太郎はとても可愛いし、カッコよかった。
自然と握る手に力がこもる。



「それにここなら人いないと思ったし」

「え…?」

「俺、ねーちゃんが好きだ」



(真夏の星と汗に、恋をする)





***
夜、突然の電話と共にさらわれたい願望。
金ちゃんみたいな弟がほしいです…。




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