dream
□皺寄せ
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二階、三階、と階段を登る。
窓から見える空が、とても綺麗だった。
「珍しいじゃん」
屋上に着くと、意地悪い顔をして笑う慈郎がいた。
外の空気を吸いたくて来たんだけど、
ついでに好きな人に会える場所は何処かな、なんて考えてしまって
そしたら自然と階段を登っていた。
「慈郎はいつからいるの?」
「うんと、4時間目から」
「…サボるの、好きね」
「違うよー、屋上で昼寝するのが好きなのー」
変わんないよ、って言って笑った。
慈郎もはにかんだ笑顔を見せる。
「お昼食べた?」
「食べてない…ぺこぺこ」
「あ、ポッキーあるけど」
「食べる!」
差し出すと、美味しそうに頬張った。その姿は可愛すぎて、緩む口元に気づかれないよう手で覆う。
「ん、喉渇いた」
「ごめん、飲み物はない」
「じゃー、買い行く」
「行ってらっしゃい」
立ち上がる彼に手を振ると、その手をきゅっと握られた。
「一緒に行こー」
手が握られているため緩む口元は抑えられず、感情一杯の笑顔が出た。
すると彼は、ちょっとだけ照れ笑いを浮かべた。
(初めて手を繋いだ瞬間)
***
慈郎といえば屋上、って感じなのです。