dream

□応急処置
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保健室で赤也の手当てをする。
怪我は、右膝に擦り傷と頬には殴られた痕。口から血が出ている。



「喧嘩でもしたの?」



保健室に入って来た時も、そして今もこうして問いかけたが…黙り込んだまま。
同じクラスでよく喋る方だから…わりと仲良いと思ってたのに。勝手な勘違いでしたか。



「しみたらごめんね」



膝の手当てを終えた後、殴られたであろう顔の手当てを始める。
最初は軽く濡れたタオルでふき取って血や汚れを取る。他人の顔に触れるのは、こういう状況でもちょっと緊張する。



「…ちけぇ」



ぼそりと呟くので上手く聞き取れず、しみたのかな?と思った。



「ごめん、しみた?」

「違う。近いっつってんの」

「…仕方ないじゃない。顔の手当てしてるんだし。我慢して」

「無理」



赤也は強引に私の腕を引っ張り、私は体制を崩して赤也に抱きついてしまった。
すると彼は私の背中に手を回して、ぎゅっと力強く抱きしめた。



「我慢なんて、出来なかった…」



次第に彼の抱きしめる力は弱くなって、小さく震え始めた。
ゆっくりと赤也から離れると、彼の目は涙でいっぱいだった。



「でも、お前の彼氏だから、殴れなかった」



目から一粒二粒…そしてどんどん溢れてく。
そんな赤也の姿を見るのは初めてで、胸が締め付けられる。



「お前の悪口言ってたんだ。悔しくて…文句言ったら、ちょっと取っ組み合いになって……でも…もし俺がここで殴ったら、お前が泣くのかなって、思って…」



だからってあたしは赤也に泣いてほしいわけじゃない




「バカ也…そんなの気にしなくていいのに」

「………好きな女の悪口言われたら、悔しいに決まってんだろ」



私も赤也と同じ、涙が溢れて止まらなかった。

知っていた。彼氏に嫌われていた事。
だけど何も出来なかった…別れよう、って切り出すことすら。
私は彼が大好きだから…そんな事気にならないくらい彼が愛しかったから。離れたくなかったから。
でもそれは……本当は、間違っていたのかな…?




「あたし、…殴ってくる」

「は?」

「赤也が殴られた分、殴り返しに」

「ばっ、ばか、 「そしたら…!……傷の手当て、してね」




涙を拭いて、強く奥歯を噛み締めて、笑ってみせた。

赤也はそれ以上何も言わなくて、だけど笑ってこう聴いた。




「心の手当てもいるか?」

「…どうぞ、ご自由に」



じゃあ待ってる、と言って手を振ってくれた。
私は静かに微笑して保健室を出て行った。






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どうしても赤也は怪我してるというイメージ(笑)




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