‡ダブルローズU†

□第六章
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レッドローズのとある研究所。国家機密の禁魔法の研究や、ベイルの伝説の解読が未だ行われているそこは十数年前まで"人成らざる者"が次々と開発されていた場所だ。

城と繋がりのある研究員たちが集う中に、『無限の情報者』ことジェイクはいた。機械が詰め込まれた広い部屋を一人で占領し、全ての機械をいとも簡単に操るその男に近付こうとする研究員はいない。

この中では明らかに異色であるこの男に、誰もが必要最低限でしか関わりたくないのだろう。


「ヒヒヒヒッ、こいつは面白い」


不気味な笑い声が室内に響く。ジェイクの視線の先には、何かの記録だろうか。

びっしりと、ある情報が書き込まれた分厚い冊子があった。その一部を見たジェイクは楽しげに笑う。

冊子の項目に載っている名前は、"レイティ"。

そこには個人情報から身長、体重、その他の被験者についての情報が事細かに記されてある。それはまさに、"人間兵器"を造り出すに従って繰り返し行われた実験結果であった。


「まさかまだこんな物が保管されてたとはねぇ、ヒヒッ」


敵国のブラックローズに情報が漏洩する危険性を考えれば、こんな非人道的な実験が行われていたという証拠品は通常抹消されるはずだ。

未だ厳重に保管されていたということは、再び必要になる可能性があるということ。もしくは"レイティ"の情報を少しでも多く取って置きたかったのか。

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