‡ダブルローズU†

□第五章
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意識が浮上していくと同時に視界が明るくなっていく。白い世界から暗闇の世界、そして自身の体へと意識は戻る。


「ん……」


ゆっくりと目を開けたレイティは眩しさに目を細めた。見上げた天井に見覚えがある。

しばらく瞬きを繰り返したあと、視界を巡らせる。ふと横に目を向けると少し離れた場所でカインとアベル、そしてもう一人見知らぬ男が話し込んでいるのが目に入った。

起き上がろうと試みるが気だるい体は言うことを聞かず、ただ何気なくカインたちを眺めているしかない。すると視線を感じたのか、不意にこちらを見たカインと目が合った。

会話を切った彼は無言でこちらにやってくる。無表情なためわかりにくいが、機嫌が悪いように見えるのは気のせいではないだろう。


「体調はどうだ」

「ちょっと体がだるいくらい……」


再び体を起こそうとするがカインに制され、ベッドに体が沈む。後ろから駆けつけてきたアベルが抱きつかん勢いでレイティの手を握ってきた。


「レイ嬢ちゃん目が覚めたんだな! 急にぶっ倒れるから心配したんだぞ」

「心配かけてごめんなさい。……気が遠くなったと思ったら、いつの間にか"虚無の狭間"にいたの」

「そいつあ、ベイルがおめぇを真実から遠ざけるためにやったんだろうぜぇ」

「…………あの、あなたは?」


カインの隣から顔を覗かせたその男は、既にレイティのことを知っている口振りで言う。

見た目はいかにも不良で、厳つい顔つきに目つきも悪い。一風して変わった髪型が更に印象に拍車をかけていた。


「俺かあ? リノブロア支部長官をしてる、グウェン=オルブライトだ。補佐ちゃんのこたあ、ツェイチスから聞いてらあ」

「あなたが……。はじめまして、レイティと申します。こんな体勢ですみません」


この男がカインやアベル、そしてフェイクトまでもが自分に会わせたがらなかった長官か。

申し訳なく、横になったまま頭を下げるレイティにグウェンは気にするなと軽く手を挙げる。見た目は怖いが、意外にも良い人そうだ。

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