‡†ダブルローズ†‡

□第七章
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狭くて真っ暗な部屋。あまりの静けさに、視覚だけでなく聴覚までおかしくなりそうだ。

簡易ベッドへ寝かされ枷で拘束されたレイティの周りにはいくつかの機械。レイティの頭や首にもそれが繋がれている。

クロノスに手を引かれて連れて来られたのがこの部屋だ。何の実験かは不明。

しかしこの機械からして、何かを測定するのかもしれない。


(ここ嫌……早く出して)


暗闇の部屋の中、たった一人で取り残されているレイティは必死に藻掻いて逃げようとするが、無駄な抵抗に終わる。

首に機械を取り付けられる直前、本当にクロノスを突き飛ばしてでも逃げようとしたくらいだ。

外も既に日が暮れて真っ暗。月明かりは窓のないこの部屋には入ってはこない。



そうしてから、どれくらいの時間が過ぎたことだろうか。レイティの身体に異変が起き始めた。


(何これっ)


徐々に頭痛が襲い、息も苦しくなってくる。

ブラックローズに足を踏み入れた時に感じた、あの異変だ。あの時と違うのは痛みは機械を通じて伝わってきて、酷くなる一方だということ。


「うあ……あ、あぁ」


手荒な真似はしないと言っていたのに。いや、彼は『殺めない』と言った。

つまり殺しはしないが苦痛は味わわされるということだ。痛みに手足に力を入れて暴れるが、枷に食い込み血が滲むだけ。


「い、やあ!」


恐怖と痛みから顔を歪め、吹き出す汗は頬を伝う。

二重スパイ。

クロノスが自分を使って何をしようとしているのか、この時初めてわかった気がした。

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