‡†ダブルローズ†‡

□第六章
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「カインの悪魔あぁあ!」


レイティの目覚め一発目の言葉はこれで始まった。

目が覚めると既に朝で、いつの間にかライティス邸で、与えられた部屋のベッドに寝ていた。

まだよく頭が働いていない状況で体を起こそうとした途端、体中に鈍痛が走る。その痛さに顔を歪め、昨日の地獄を嫌でも思い出した。

そしてこの叫びだ。

それでも体に痣は思っていた以上に少ない。一応手当てしてくれたのだろう。

だがやはり痛いものは痛い。

唸りながらベッドから下りようとしていると、ノックもなしに部屋の扉が開く。入ってくるのは自分をボロボロにし、先ほど大声で罵倒した相手。

いくら他人の邸でも、痛みを堪えることができなかった。


「朝っぱらからうるさい奴だな。どうせ体が痛むんだろ」

「そ、そうよ。君のせいなんだから」


カインはずかずかと入って来ると、ベッドに腰掛けて妖艶な笑みを浮かべて見つめてくる。

向き合うような体勢で、顎を掬われる。毛を逆立てて警戒する猫の如くレイティは迷わずカインを睨み付けた。


「まだ起きたばかりか。無防備だな」


ふと下げられた視線につられて見れば、未だ寝間着姿の自分。今から着替えようとしていたのだから当前だ。

対してとっくに軍服に袖を通し準備万端のカインに、いつも以上に腹が立つ。

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