‡†ダブルローズ†‡

□第五章
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「ん……」


どれくらい暗闇の中を彷徨ったのだろう。気づいた時にまず見えたのは、見覚えのない天井。

レイティはゆっくりと体を起こして辺りを見渡すが、やはり見覚えのない部屋だ。ふと思い出して大量の血が流れていた腕を見ると、腕には包帯が巻かれてあり痛みは全くない。

そして同時に思い出すことは仲間だった男と、侍女として良くしてくれた男の妹。自分を恨み復讐と命令のためにこの計画を実行した、張本人たち。

最後には暗示によって自害してしまった。

レイティは苦しそうに顔を歪め、ベッドから降りようとした。しかし、


「勝手にベッドから抜け出そうとするな。まだお前は怪我人だ」


諭すような、子供の声にしては大人びた声を聞きそちらを見ればいつからいたのか、キルがこちらへ近付いてきた。

思いがけない人物にレイティはきょとんとする。


「何でキルがここに?」


呼び捨てなのはキル自ら言ったこと。年上の者に"様"付けされるのはあまり慣れないらしい。

特に身近な人物の中で、年の一番近いレイティには敬われるのが嫌だと言う。


「三日前の満月の夜、お前が気絶したあとカインが僕の所に運んできた」

「じゃあここは禁魔城……て、ええ! 三日前!?」


勢い良く叫ぶレイティの反応は当然の反応だ。三日前ということは、言い方を変えると三日間ずっと眠り込んでいたことになるのだから。

突然、それも平然と告げられて驚かないはずがない。

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