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□呼ぶ声
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「千鶴〜」
あ、あだなの声だ。
そう思って、オレは走り出した。
「え?!千鶴?」
そういってあだなが追いかけてくる。
ひたすら走った。
「千鶴!待ってよ!千鶴ってば!!」
「・・・」
「千鶴!なんで逃げんの?!」
追いかけられて、向かったのは屋上。
-バンッ!!
「千鶴!!」
やっと追いついたあだながオレの手を掴んだ。
振り向く。
「千鶴・・・すばしっこすぎ。」
「だはははは〜!!オレに追いつこうなんて100万年早いよ!」
「いや・・はぁ・・はぁ・・・追いついたから。」
手は握られたまま。
あだなは息を整えようと必死で、全然意識してない。
「ってかさ、・・・はぁ・・・なんで・・・はぁはぁ・・・逃げんの?」
「ほへ?」
オレはとぼけたように声を上げた。
でも実は確信犯。
「う〜ん。あだながおもしろいから!!」
君がオレを呼ぶ声を長く聞いていたいから、なんて。
恥ずかしくて、度胸のないオレには、言えないけどね。
呼ぶ声
千鶴の笑顔は可愛いと思う