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□GWぱーてぃー
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(GW)





GWが休日だったのはいつだったか。
それほど遠い昔じゃないと思うけど、今目の前にいる奴らを見てると、目を遠くにやってしまうのも無理はないと思う。


「休みだからってなんなんだお前らここはただのスーパーだお前らが来るような場所じゃない帰れスットコドッコイ」

「すごいね。長文一息」

「っつか、すげー棒読みになってんぞー」

「今必死に怒りを抑えてますんで」

「接客業は笑顔、でしょ!ほーら!笑顔笑顔!」

「すまいるすまいる」

「殴っていいですか(にっこり」

「こえーよ阿呆」

「み、みんな!邪魔しちゃ悪いですよ!」


春ちゃんだけだよね、わかってくれるの。
しみじみと脳内で春ちゃんをかいぐりしながら手を進める。

っていうか、こんなに拒絶の意思を見せてるのに、みんなレジ前から動かないってなんだ私のことそんなに嫌いか。嫌がらせか。
狭いレジによく五人でいられるなー。暑苦しくないのか。こっちは男子高生五人に圧迫されてる感ありありで辛いんですけど。うざいんですけど。
…まあ、お会計がまだだからなんだけど。私が早くレジ打っちゃえばいいことなんだけど。


「っていうかさー、俺達客よ、客!買い物してんでしょ?!大切なお・客・様・よー?もうちっと笑顔で‘いらっしゃいませー’とかさー」

「子供が騒いでんぞ、おい。黙らせろよ保護者」

「…え、保護者って?」

「アンタしかおらんだろ悠太くん。要でもいいけど」

「俺パスー」

「いや、俺も遠慮しときます」

「んじゃ迷子センターに」

「猿が一匹迷い込みましたって連絡すればいいのね了解」

「ちょ!なに本気で無線機取ろうとしてんの?!ってか誰が猿だって?!ウッキー!!」

「もうホント、動物愛護団体にでも捕獲されて私の目の前から消えてくれないかなーバナナあげるからさー」

「って、それ俺たちが買うために籠に入れたやつでしょ?!」


あー、うるさい。
全然手が進まない。いや、私の要領が悪いんじゃないよ。こいつらが買い過ぎなだけだよ、なにこの品数半端ないんだけど。なにすんの?パーティーでもすんの?子供の日だから?
お前ら何歳児だっつーの!


「これから要んちで鍋やんの」


訝しんでたら悠太くんが気付いて教えてくれた。

あーだからネギとか肉とか肉とか肉とか…肉、肉、肉。肉ばっかだなオイ。男子高生だからまーたくさん食べるんだろうけど。野菜食えよ、お前らどー見たって草食系なんだから。イメージ崩れんだろ。


「ねー、上がんの何時?」

「は?」


能天気な猿の声に一瞬、手が止まった。
猿の所為で能天気がうつったか、GWだから幻聴でも聞こえたか、それか五月病か?あれ、五月病って休みたい休みたいってやつだよね違うっけどうでもいい、け、ど。


「結構買いこんじまったしなー。お前終わったら来れば?」

「今日で連勤最後だって言ってましたよね?あの、迷惑じゃなかったら、一緒にお鍋しませんか?」

「要んちわかるでしょ」

「あー、うん」

「じゃ、あとで」

「ほら猿持てよ!」

「ちょ、要っちは?!っつーか、これ絶対一人で持てる量じゃねーだろ!ほら、ゆっきー!」

「あーだめだめ。俺スプーンより重いもの持った事ないから」

「それ言うなら雑誌よりじゃない?」

「千鶴くん、僕一個持ちますよ」

「ゆうたんまで!春ちゃーん!!春ちゃんだけだよわかってくれるのは!」

「ほら、帰るぞ!」


ガサガサとビニール袋の音。
最後までうるさいなーとか思いつつ、目の前の五人が流れていく姿を、背中を見送る。


(あ、)


またあとでね。がんばって。

悠太くんと目があった。口がそんなことを言ってた気がする。ただの希望かもしれない、幻覚かもしれない。最近働きすぎたから、そんな願望が、そう、形になった、だ、け、とか。

次のお客が籠をレジに置いた。


「…いらっしゃいませ」










またのお越しをお待ちしております。

(お疲れ様、)

悠太くんにお疲れ様って言われたい

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