□No.4
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『はぁ…はぁっ…』
必死で走ったせいか心臓が
尋常じゃないくらいバクバ
クしてる、胸に手を当て少
し落ち着こうと、息を整え
ながら時計を見る。現在の
時刻一時四十七分、極度の
方向音痴の私が中々早い到
着なんじゃないか、と自分
を褒めた。で……ラウさん
の居場所だか…、たしかこ
この路地のはずだ、一回シ
エルとセバスチャンと来た
ことがあるし。
『あー嫌だなぁ、ラウさん
に会うの…さっさと渡して
さっさと帰ろ!』
独り言を言いながら石で出
来た螺旋階段を早歩きで降
りた。
ガチャッ
むわぁっ……
阿片の匂い、香水の匂い、
お香の匂い、様々な匂いが
私の鼻を刺激する。
『うぅ…相変わらず嫌な匂
いだな…』
「やぁ、いらっしゃい」