北欧神話系創作(短編)
□光の方へ
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暗闇に差した光へと手を伸ばすのは罪ですか―
存在しないかの如く扱われてきた私に初めてさしのべられた手が、どうして地獄の物でありましょう。
膿んだ空気を掻き回した涼やかな風が死の伊吹だとは誰の言なのか。
全てを手に入れることの叶わない私が手に入れたのは、ただ彼という光のみ。
それがムスペルヘイムから来るのだとしても、それを守るのは私の役目。
与えて貰ったものに少しでもお返しするために、その輝きを消さないために。
全てを等しく焼き尽くす炎が、彼そのもののようで、私は少し嬉しかった。
fin
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シギュンさんのパーソナルデータが少なすぎる…ってことから生まれた話です。
こういう暗くて雰囲気だけの話は思い浮かびやすいです。