「ジェクトって…敵の言葉じゃないか。敵の言葉なんて…。」
僕はもう見えなくなった姐さんの方を見た。
出来ないことはやらない主義。
これが僕の見つけた答え。
でも、本当にこれでいいのか?
『姐さんみたいになりたいなら……』
『無限の可能性がある。』
「あぁっもう!こんな崖、僕なら楽勝だっ!!」
姐さんみたいにジャンプして登るなんて出来ない。
でも、地道に登る術くらいなんて持ってる!
「っしょ、んしょ…。」
あともう少しだ。
あれから大分時間たっちゃったな…。
(姐さん、もう帰っちゃったかな。)
気を抜いたのが悪かった。
僕は手を滑らせ、体が崩れ落ちていく。
(もう、だめだ…。)
やっぱり、無理なんてしない方がいいんだ。
必ずとも報われる訳じゃないんだ。
でも、いつまでたっても僕の体に痛みは無くて。
「…大丈夫か?」
「……っ、姐さん?」
「ほら、あと少しだろ?」
姐さんが僕を助けてくれた?
でもどうして?
「先に行ったんじゃ…。」
「待っていたんだ、お前ならちゃんと登ってくれると、信じてな。」
頭を撫でられる。
「私を裏切らずにいてくれて、ありがとう。」
「っ……。」
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