そうっと階段を登ると未来お兄ちゃんとお姉ちゃんの話声が聞こえてきた。
少し空いてたドアの隙間から部屋の中をこっそり覗いてみる。
「これ、クリスマスプレゼント、未来くんのために編んだのよ」
ちょっとお、お姉ちゃん、いつもの間にマフラーなんか編んでたのよ?
ズルイよっ、抜け駆けだよ。
そんな綺麗に編んじゃってさっ!
大切に後ろ手に隠し持っていた包み紙をギュッと握った。
それには、未来お兄ちゃんのために、お母さんと焼いたハート型のクッキーが詰まっている。
何度も焼き直して美味しく仕上がったし可愛くラッピングも出来たと思ったけど、
お姉ちゃんのマフラーと比べると私のクリスマスプレゼントは随分と幼稚に見えて悲しくなった。
それに赤いミニ丈のワンピースにアクセサリーを付けたお姉ちゃんは一段と大人っぽくて、
高校生なんかには見えないし、不覚にも見とれてしまうほど綺麗でとてもセクシーだった。
ぐっと距離を縮め、女らしい仕草で未来お兄ちゃんの首にマフラーをかける。
ちょっと、お姉ちゃん、近いよっ
もっと、未来お兄ちゃんから離れてよっ
「ありがとう、舞ちゃん」
「ねえ、未来くん、この間の返事聞かせて?」
「それは、この間言った通りだけど?」
「従姉だから付き合えないっていうのは変じゃない?」
マフラーから離した指先をそのまま下ろして未来お兄ちゃんの胸の辺りをなぞる。
「そう?家同士のこともあるから簡単には付き合えないよ」
「そういうこと聞いているんじゃなくて」
フレンチネイルの施された指先で、
「私のこと好き?って聞いてるの?」
ツンツンと胸を付いた。
そこって、乳首じゃないの?
シャツの上からとはいえ、その動きはなんかヤラシイよっ!
「イエスかノーで答えなければならないのなら、その答えはノーだよ」
未来お兄ちゃんは首にかけられたマフラーを外し、
「もし、そういう意図があるなら、悪いけど、このマフラーは受け取れない」
胸にある指を払いながらお姉ちゃんの肩にかけた。