Private Lessonフォレスト版
□Lesson7
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「お父さんも出張でいないし、お寿司でもとるから未来くんも食べていかない?」
お母さんは買い物に夢中になりすぎて夕飯の支度を忘れてたみたい。
私達のお父さんへの口止め料としてお寿司の特上をとることになった。
お寿司を食べながらも、お母さんはブランドセールの話をずっとしていて、
そろそろ聞き飽きた頃、私の成績の話になった。
「えっ、つぼみちゃんって英語も苦手なんですか?」
英語もって、
もって何よ。
「うーん、それがねー、苦手なのは数学と英語だけでもないのよねー」
「ちょっとお母さん余計なことペラペラと言わないでよ。」
「つぼみちゃんは何が得意なの?」
「うっ」
痛いとこをお兄ちゃんにつかれて答えにつまる。
「特に得意なんてないわよ、ねぇつぼみ。
それでね、お父さんとも話たんだけど、未来くん、他の教科も見てもらえないかしら?」
「なっ…お母さんっ、そんなっ…突然…お兄ちゃんにも予定があるんじゃ…」
そりゃ、お兄ちゃんと一緒にいる時間が増えるのは嬉しいけど…
お兄ちゃんの反応が知りたくて表情を伺う。
「つぼみちゃんさえ良ければ僕は構いませんよ。」
お兄ちゃんは私の方を見てニッコリと天使のように微笑んだ。
「!」
ドキドキすることばっかりで身がもたないかも…
そんなわけで一緒の時間が増えたんだけど、
…
けど…
あれから、毎日、
本当にお勉強ばっかりしてる…
確かに、ウソみたいに数学も面白くなってきたし、他の教科もとっても分かりやすい…
お兄ちゃんは何でも教え方が上手い。
でも…
あれっきり…
続き…
してない…
今日はお母さんもいないのに。
結婚して京都で暮らしてるお姉ちゃんから、風邪をひいて熱があるって電話があって、
お母さんは看病と家事を手伝いに行っちゃった。
姪っ子もいるし、
多分、向こうに泊まると思う。
しかもお父さんは海外出張中というタイミング。
「ねえっ、つぼみちゃんっ」
「えっ、何?」
「聞いてなかったの?僕の話?」
「あっ、ごめんなさい」
「なあに?つぼみちゃん、恋煩いでもしてるみたいな顔して?」
ちょっと、お兄ちゃん、顔、ちっ…近い…
だっ…だめ…
身を引いた拍子に、私の胸にお兄ちゃんの肘がほんの少しだけあたった。
「はああんっ…」
やだっ、エッチな声が出ちゃった。
「わっ、私、おっ…おトイレ行ってくるっ…」
明らかに挙動不審な態度で部屋を出てトイレに逃げ込む。