Private Lessonフォレスト版

□Lesson20
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「つぼみ、キスしてもいい?」

いつもだったら、そんなこと聞きもしないし私の顎を強引に上に向けさせてでも奪うくせに…

身を屈めて用心深く下から唇を近づけてくる。

「ダメっ…」

その柔らかさを恋しく思いながらも拒んでしまう。

「つぼみ、唇に触れるだけのキスもダメ?」

「今はしたくないっっ!」

強い口調で言ってしまったことを少し後悔したけど…

「僕のこと嫌いになった?」

まさか、そんな弱気な言葉を聞けるなんて思わなかったし、

めずらしく困った表情で顔色を伺うお兄ちゃんに内心ホッとする自分がいる。

もう拒んでいるのか、追ってほしいから逃げているのかわからなくなってきた。

でも逃げきったところで後ろを振り返ったら誰もいないというのだけはイヤッ。

本当は今すぐベットに押し倒されて、さっきまでのことを忘れさせるくらいに激しく抱いてほしいのに…

嫉妬に駆られたお兄ちゃんの熱に突かれたいのに…

麗さんに汚された唇は心とは別のことを口にしてしまうよ。

「違うけど、混乱してる」

「そうだよね」

そう混乱しているだけ、きっとあんなことがあって気持ちが高ぶっているだけ。

私から誘うような形でキスよりも早く胸を吸われて、

体の関係が出来たからこそ付き合うまでにこぎつけたけど。

……最初は付き合えただけでも嬉しかった。

でもだんだんと欲張りになって、

お兄ちゃんのすべてを独り占めしたい。

モテるのはしょうがないけど、もう私以外の女の人とは関係を持ったら嫌だよ。

本当いえば、喋ったり微笑んでもしてほしくもないもの。

だから私を怒ってよ。

頬を叩かれてもいい。

他の男の視線になんか感じるなよと、

僕も妬いたと、

つぼみだけが好きだよと言ってよ。

私、薬のせいでどうかしてるの?

フツフツと沸き上がってくる醜い嫉妬とどうしようもない独占欲を抑えきれない。

「ごめん…つぼみ」

「……」

「悪いのは全部、僕だよ」

そんな言葉が聞きたいわけじゃないの。

「じゃあ、何でこんなところに連れてきたの?」

「わからない…」

わからないって何よ?

私の初デートだったのに、それはないんじゃないの?


ーートントンッ

「一ノ瀬様、艶子様からご出発されると伺いましたので、お荷物をお車までお運びさせて頂きます」

「ボーイが来たみたいだ。もう出れる?」

「……うん」
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