Private Lessonフォレスト版
□Lesson23
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ーー薔薇の花を吊したある小屋で目隠をして情夫に抱かれながらも、私は愛しい別の男の名を呼び続けていた。
何故こんなことになったかといえば、この小屋で自慰に耽っているのを香月(こうづき)に覗き見されたのが始まりだった。
まさか香月に覗き見られているなんて思いもしないから、私は叶わぬ恋の相手に抱かれることを妄想し、
ストールに染み付いた“彼”の残り香を嗅ぎ、大股を広げ、快楽に浸っては何度も“彼”の名前を口にしていた。
「お可哀想な一華(いちか)お嬢様…」
最初は、気のせいかと思った。
聞き覚えのある声がしたような気がして、ふと、大きく広げた股の正面にある物置を見ると、ほんの少しだけ扉が空いていた。
「意外と、そういう時は大きな声を出すんですね?それに随分と濡れやすくていらっしゃる」
気のせいじゃない。今度は、はっきりと物置の中から声が聞こえる。
「なかなか刺激的でしたよ、一華お嬢様のオナニー」
「そこに隠れているのは誰?」
音もなく扉はゆっくりと開き、中から現れたのは、
やはり香月。
よりによって一番見られたくない相手に……
「フフッ、私にオナニーを見られたことがそんなに恥ずかしいですか?」
慇懃無礼というのはこの男のこと。
礼儀正しい態度とは裏腹に何を考えているのかわからないし、どこか人を見下している。
その上、頭が切れるから太刀が悪い。
全身がガタガタと震えだす私に、何故か“彼”のストールで目隠をし、香月は話を続ける。
「こうして目隠しをすれば私の声は、あの方に似てなくもないでしょう?」
確かに香月の声は少し“彼”に似ている。
“彼”と香月は遠縁にもあたるから似ていても不思議ではない。
「さあ、一華お嬢様、先程のように、あの方の名をお呼びなさい。私がオナニーのお手伝いをして差し上げますよ」
何を言い出すかと思えば、香月は“彼”の身代わりをしてくれるつもりらしいのだ。
「ああっ」
さっきまで指で弄っていた場所に何かが触れ、つい大きな声が漏れてしまう。
目隠しをされているから何かはわからないけど、
温かく湿っていて、ざらついているのに柔らかい、生き物みたいにソコを這いまわる。
これ以上されたら、もっと変な声をだして身を委ねてしまいそうで、
「だめっ、やめてっ……」
口先だけでも抵抗をしてみる。