Private Lessonフォレスト版

―第3章― 恋の罪
Lesson22
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うふっ、お兄ちゃんの部屋につくのが待ち遠しいな。

さっきは、純愛とかいってキス以上を拒んだけど、やっぱり部屋に着いたら、

……そういうことになるよね?

だって、肩に回したお兄ちゃんの手が下へ下へと降りてくるのを私もとめないし、

ますます密着する体は、お互いが『したい』ってサインだもん。

お尻に到達した手が遠慮がちに丸みに沿って撫でるから、チラッとお兄ちゃんを見たら、お兄ちゃんも私をチラッと見たの。

そんな微妙なやり取りとタイミングに胸がキュキュンしちゃうし、その照れた微笑みと流し目は反則だよ、お兄ちゃん!

同じ沈黙でも車の中と違って気まずくない、ドキドキはしちゃうけど。

あんっ、今日は縛られちゃうのかな?

きゃあっ、私、そういうプレイ、まんざらでもないんだ。

お兄ちゃんなら、いいかなって……

純愛の先にエッチがあってもおかしくないよね?

そのエッチが、ちょっとアブノーマルよりだとしても……

私達は、その、あっ、愛し合っているんだからさっ。

えへへっ、お兄ちゃんのマンションのエレベーターの中で、悶々としちゃう私なのでした。

やっと15階のボタンが光って到着を知らせる音に顔がニヤけちゃうよおぉーーーー


あれっ?

前方に見える愛しのお兄ちゃんの部屋の前に女の人が立ってるような気が……

まさかね、見間違いだよね。

「一ノ瀬くん、久しぶりね?」

「えっ、雨宮さん?」

見間違いじゃなかったみたい。

「オートロックね、管理人さんに入れてもらったの」

「そうなんだ、もしかしてずっと待ってたの?」

「うん、そうね、1時間も待ってないよ」

ちょっとお、ちょっとお、お二人さん、私の存在を無視してませんか?

ーーっていうか、その女の人だあれ?

「あっ、ごめんなさい。彼女よね?私、帰るわ」

ようやく気づいてくれました私のこと?

「もう遅いし、危ないから送るよ」

えっ? 何言っちゃってんの? お兄ちゃん?

「いいわ、彼女、心配しちゃうわよ?」

「つぼみ、ごめん、部屋で待っててくれる?すぐ戻るから」

ええっ!そんなっ…

そりゃあ、夜遅くにこんな綺麗な女の人を1人で帰すわけにはいかないだろうけど…

タクシーとかあるじゃない?

私って意地悪?

だって、嫌だよ、その人……

友達なんかじゃない関係だってすぐにわかったもん。

元カノ?

うんうん、そんな感じでもないような…

もっと…

そうだ、この人、どことなくお兄ちゃんのお母さんに似てるんだ。

「ごめんね、私、一ノ瀬くんとはなんでもないの。だからホント気にしないで、ねっ?」

ふぅーーーーん

それは、大人の女の余裕ですか?

「いいよ、送ってあげて、私部屋で待ってるから」

それじゃあ、私だって彼女の余裕見せちゃうよ。

だから、わざと、『お兄ちゃん』とは口にしなかった。

うっかり『お兄ちゃん』なんて呼んで、妹なんて誤解されたらたまったもんじゃないからね!!
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