書庫(短編)
□閻魔、まさかの逮捕?
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「ぅ〜」
「連絡も来ないなぁ…」
(鬼男くーん、早く迎えに来て〜!)
冥府の装飾の施された椅子に比べれば(比べてはいけないが)実に粗末で平凡な椅子に座り、閻魔は鬼男の事を考えていた。
突然、閻魔は顔を上げた。
冥府の風を幽かだが感じる。
「大王」
今のは、幻聴だろうか。鬼男には、行き先を伝えずに来た。せめて置手紙でも残せばよかった。
そう後悔の念に駆られていると、先程よりも大きく聞こえた。
「大王!」
ああ、オレってば鬼男君の事考えすぎて幻聴がはっきり聞こえる様になっちゃった。
「コライカ!!ちゃんと気付け!」
少々乱暴に肩に手が置かれた。驚いて振り返れば、眉間に皺を刻んだ鬼男が閻魔を見下ろしていた。
「鬼男君!?」
「ほら、気付かれない内に帰りますよ」
腕を掴まれて立ち上がらせられる。
冥府に続く裂目が開いた。
「帰ったら、説教ですからね」
「うへぇ」
「だまって下界に来たアンタが悪いんです」