書庫(短編)
□イカネコ
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もうすぐ梅雨も終わるってのにその日は朝っぱらからドシャ降りの雨で。
傘を差しながら家へ急いでたら猫の声が聞こえた。辺りを見渡したら、道端の草陰に器用に濡れない様に丸まっている猫がいた。
そのとき僕は引っ越して来たばっかりで何も飼ってなかった。
「ァオウ」
小さく鳴く猫に思わず手を伸ばした。
それが、僕と大王の馴初め―――。
「だったよな?大王」
ひざの上の大王に確認を取る。答えなんか返って来ないけど、それは気にしない。
今じゃ物凄く大切な家族だし、なんか上司(?)だし、もっとずっと長生きして欲しい。 ちょっとしたわがままだけど聴いてくれますよね、大王?