捧げ物・頂き物・イベント物

□運動会日和
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 今日は町内運動会にうってつけの天気だ。
 もったいない事に運動会は屋内でやる。
 人数が少ないという事で、河合曽良は運動会にかり出されていた。というのはおそらく口実だろう。
 自治会長・芭蕉がただ単に来て欲しいという事だからだろう。
(まったく……あのジジィは)
 曽良自身は出るつもりなど微塵も無かった。
 会場は豆岡高校体育館だ。
「あ、おはよう。曽良君、来てたんだ」
 振り返れば、学校で同じクラスの小野妹子がいた。
「芭蕉さんに人数が少ないから来てくれと言われて来てみれば、町内の半分以上が来てるじゃないですか」
「そうでも言わないと、曽良来ないじゃん」
「アンタの差し金ですか、閻魔さん」
 朗らかに笑って悪びれも無くそう言う閻魔に曽良は眉間に皺を寄せた。
 閻魔は相変わらずの態度で首に掛けたタオルを玩んでいる。
「大王!アンタは開会式の準備でしょうが!!すいません、ホントに」
 閻魔は後からやって来た鬼男にステージの方へと連行されていった。
 曽良は誰も見ていない今の内に踵を返して帰ろうかと思った。
 だがそれを阻むように
「曽良くーん!来てくれたんだね。曽良君の事だから来ないと思って」
「僕は出ませんから、帰ります」
「まってぇ!!帰らんといてぇぇ!参加賞もあるから!」
芭蕉がやって来た。
 帰ろうとする曽良を引き留め様と芭蕉は腕にしがみついて喚く。
「チッ、仕方ないですね。出てあげますよ。その代わり芭蕉さんの参加賞も僕が頂きます」
「分かった!曽良君出てくれるんだね!?松尾うれしーー!」
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