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□鬼男君の子供の頃
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「大王、僕の子供の頃ってどんなだったか知ってますか?」
突然訊かれた閻魔は目を瞬かせた。
筆をいじりながら茶化す様に答える。
「鬼男君てば、忘れちゃったの?」
「誰だって数十年数百年生きれば子供の時くらい忘れます」
「仕方ないなぁ」
言葉とは裏腹に閻魔は話したくて堪らないと言う風情で話し出した。
鬼男は他の鬼と同じ様に冥府のどこか、閻魔も見た事が無いような奥底で生まれた。
自分の存在意義が解らずしばらく、冥府を一人彷徨い続けていた。それを続けた結果、鬼男の心は荒んだ。
そこに現れたのが今の彼の主にして冥府を統べる王・閻魔大王。
閻魔は鬼男を連れ帰り、秘書に任命した。
冥府で秘書として過ごすうちに鬼男の荒んだ心は癒されていった。
鬼男が今でも敬語を使っているのはその時の名残だろう。
今では閻魔に意見し暴走を止められる大切な存在だ。
「ていう事があったんだよ」
「そんな事があったんですね、僕は覚えてませんけど」
「酷いなぁ」