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□太子の子供の頃
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自邸の木に吊り下げられたブランコに一人座って、太子はぼんやりと子供の頃の事を思い出していた。
用明天皇の第二皇子として産まれた。
諱は厩戸皇子。厩の前で産まれたかららしいがなんか安直過ぎる気がする。
子供の頃から、こんなだったかというと、実は七割近くがそうだ。
犬を見付けては本当に皇家の血を引いているのかと思うほどはしゃいで駆け寄り、石に蹴っ躓くという有様だ。
その上、邸を抜け出しては外に行ったり、カレーを大量に作ったり、どこから仕入れたのかも分からないジャージを長櫃に詰めたりなどと意味不明な事をしていた。
それでも摂政になれたのは推古天皇の推薦と
極々稀に見せる政治の才能を買われたからだろう(たぶん)。
大人になってもこの変人っぷりは変わらない。というより、いっそう酷くなっている。
昔の頭の内三割の聡明な面影は今では本当に一割も無い。
「太子、見つけましたよ。早く来てください、今溜まっている仕事は全部太子のノルマですよ」
苛立ちを含んだ声に顔を上げれば、腰に手を当てた妹子が立っていた。
「妹子が適当にやりんしゃい」
「ふざけんな!!」
「あなだ!!」