書庫(短編)

□鬼男君の悪夢
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「〜〜〜〜〜〜っ、うわぁぁっ!!」
 引き攣れた叫びを上げ、鬼男は飛び起きた。
 何だか、右腕が重い。
 目を眇めながら視線を下ろすと、すやすやと心地良さそうな寝息をたてる、閻魔の顔が視界に入った。
「………何、人の部屋で寝てんだ、ダイオウイカァーーーーーッ!!!!」
 勢いよく腕を振り上げると、鬼男の腕を抱いていた閻魔の腕が跳ね上がり鬼男の腕から離れる。
「ん…、どしたの……?鬼男君…」
 眠そうに目を擦りながら、閻魔がたずねてきた。
 鬼男の怒りは頂点に達した。
「どうしたじゃねぇぇぇ!!!何で僕の部屋でアンタが寝てるんですか!!!」
「え〜……?なんとな…グホォォ!!」
 閻魔の返答が完全に返る前に容赦なく鬼男の爪が喉笛と眉間に突き刺さった。
「鬼男君!そこ急所だよ!?いくら俺でも死んじゃうってば!!!」
 喚き訴える閻魔に鬼男は涼しげに返す。
「大丈夫ですよ、今までもそこに何度か刺してきましたから」
「えぇぇ!?た、確かにそうかも」
 今までを振り返り、青ざめた閻魔に鬼男は追い討ちを掛けた。
 真っ黒ぉぉぉい、満面の笑み。
「とにかく、今すぐアンタは出て行けっっ!!!」
「FOREVER!?」
 閻魔は鬼男の部屋から投げ出された。
「って〜〜…、鬼男君のケチケチケチィ〜〜!!」
 しばらく、鬼男の部屋の外では閻魔がみっともないと言うか、情けないことに、冥王としての威厳は何処へやらと言う姿で泣き喚く姿が見られたと言う。

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