書庫(短編)
□閻魔、まさかの逮捕?
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「どこに行ったんだ!?あんのアホイカが!!」
冥府の中を鬼男は、駆け足で閻魔を捜していた。
鬼男が必死に捜している中、捜されている当の本人は、現し世にいた。
「へっへー!鬼男君よりちょっと早く見回り終わらせたからこっち来ちゃったもんね〜!」
実際は、天国の見回りを、
《天国なんか平和だから見なくて良いよね〜》
と適当に天国に入って1秒くらいで終わらせて帰ってきたのだ。
無謀にも、セーラーで夜の街を歩く。
世間知らずもほどほどにして欲しい所だ。
「ちょっと、君!こんな時間に学生が一人で出歩いちゃいけないよ!」
やっぱり、警察官に見つかった。
閻魔は現し世に来ると人間に視える様になる事がすっかり頭から抜け落ちていたのだ。
「え、あ、ちょ…!」
「保護者の方が来るまで、署の方で待ってよう」
抵抗するのもはばかられ、閻魔は仕方なく警察官について行く事にした。
結局、閻魔は警察署で、来るはずの無い保護者を待つ事となった。
冥府の自分の部屋で、鬼男は行方不明の閻魔の居所について心当たりのある場所を模索していた。
閻魔の部屋にも入った。入り口まで回るのは面倒だったので窓から入ったが。
閻魔の部屋からは、セーラー1着が無くなっていた。よく閻魔が着ているセーラーの一つだった。
「もしかして、あいつ下界に降りたのか!?」
他に心当たりの無い鬼男はそうに違いないと見当をつけ、現し世に向かった。