青祓 ver.

□第六話 痛い
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次の授業は、俺がもっともやりたくない、魔法円の授業やった。


ネイガウス先生の説明を聴きながら、俺の頭はガンガン痛んだ。


「"テュポエウスとエキドナの息子よ…出でよ"」


ネイガウス先生の呪文と共に、屍番犬が現れた。


とんでもない硫黄の臭いと、それをなんでもないように説明を続けるネイガウス先生が信じられなかった。


「悪魔を召喚し、使い魔にすることができる人間は非常に少ない。悪魔を飼い慣らす強靭な精神力もそうだが、天性の才能が不可欠だからだ。」


手元に配られた紙を見つめながら、少しだけホッとした。


…これなら呼び出せないかもしれない。そうすれば、坊達に醜態を晒さなくてすむ。


「"稲荷神に恐み恐み白す…、為す所の願いとして成就せずということなし!!"」


そんな長い呪文とともに現れたのは、白狐が二体だった。


「白狐を二体も…見事だ、神木出雲」


得意気な出雲ちゃんを余所に、坊達はセンスが無かったようで、ポカンとしていた。


そんななか、杜山さんだけはどこか違った。


「おいでおいで〜…なんちゃって…」


「ニー!」


「それは緑男の幼生だな。素晴らしいぞ、杜山しえみ。」


ほんわかムードの教室は、俺が呪文を唱えようとしていないのに気付いていない。


「さぁ次はお前だ。志摩修造」


『俺はちょっと…』


「何をしている。さっさとしないと、次に進めないのだが」


ネイガウス先生はマジで怒っているようで、正直に従うしかなかった。
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