青祓 ver.
□第六話 痛い
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燐がキモチワルイらしい坊と仲良くなって(少しだが)、このまま円滑に塾生活はすすむはずやった。
「夏休みまでそろそろ1ヵ月半切りましたが、夏休みの前には今年度の、候補生認定試験があります。候補生に上がるとより専門的な実戦訓練が待っているため、試験はそう容易くはありません。…そこで、来週から一週間、試験のための強化合宿を行います。合宿参加するかしないかと…取得希望"称号"をこの用紙に記入して月曜までに提出してください。」
長い先生の話のなかには、いくつも引っ掛かるポイントがあった。…強化合宿と称号や。
坊は詠唱騎士、竜騎士の二つ、廉造と猫さんは詠唱騎士を取るとか言ってはったけど、正直俺はまだ決めていなかった。
「"称号"ってなんだ?教えてくれ…オネガイシマス」
「はぁ゙?そんなんも知らんで祓魔師なる言うてんのか!大概しいや!」
「ははは…奥村くんてほんに何も知らんよなぁ」
「な…何だよクソ…世の中にはそんな人もいるんだよ…」
「"称号"いうのは…」
また猫さんの懇切丁寧な説明が流れるように繰り広げられるなか、俺はなんとなく、"称号"について、考え方が甘い気がした。
俺はもう使い魔が居るから、手騎士をとるべきやねんけど、ずっと憧れてきた騎士と、廉造達と揃いの詠唱騎士もとるべきや。
そうなると3つ…3つも取れるかと言われたら、自信なんてどこにもない。
だけど…坊には負けたくない…
「修造お前、3つも取れんのかいな!?」
『わからんけど…やってみる価値はあるやろ?ほら、せっかくここまで来たんやし…な?』
「そりゃそうやけど…」