青祓 ver.
□第五話 蝕む
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泣きそうな俺を励ましながら、廉造は俺を競技場まで連れてきた。
「あ、志摩さん、修造さん、お疲れ様ですー」
『なんや心配かけたなぁ…猫さん、ごめんな?』
「いえいえー」
『…で、なんやアレ』
俺の目線の先には、相変わらず反りが合わないらしい坊と燐が、凄い勢いで走っていた。
「あちゃー…また坊はアイツに絡みにいってんのか…」
「さっきからですえ…二人ともムキになってしもて、回りの声、全然聞かはらへん」
「コラァーッ」
突然先生の声がしたかと思えば、物凄い勢いで蝦蟇と…いや、二人で追いかけっこをしていた。
そっから、性懲りもなく喧嘩しはじめたから、必死で止めに行った。
『燐…頼むから喧嘩せんとってや?俺…喧嘩とか苦手やねん…』
「お…おう…」
それから坊は先生から注意、廉造と猫さんは燐に坊の過去、それと『青い夜』の話をしはった。
「いいかネ!基本的に蝦蟇は大人しい悪魔だが、人の心を読んで襲いかかる面倒な悪魔ナノダ!私が戻るまで競技場には降りず、蝦蟇の鎖の届く範囲には決して入らないこと!いいネ!分かったら以上!今行くヨ!子猫ちゃ〜ん!!」
「なんやあれ…!あれでも教師か!!正十字学園て、もっと意識高い人らが集まる神聖な学び舎や思とったのに…!生徒も生徒やしなぁ!」
坊の声は、昔っからよく通る気がする。いや、通る。
そのせいか、坊が怒鳴ると、やっぱり気が引き締まる。