青祓 ver.

□第五話 蝕む
1ページ/2ページ


泣きそうな俺を励ましながら、廉造は俺を競技場まで連れてきた。


「あ、志摩さん、修造さん、お疲れ様ですー」


『なんや心配かけたなぁ…猫さん、ごめんな?』


「いえいえー」


『…で、なんやアレ』


俺の目線の先には、相変わらず反りが合わないらしい坊と燐が、凄い勢いで走っていた。


「あちゃー…また坊はアイツに絡みにいってんのか…」


「さっきからですえ…二人ともムキになってしもて、回りの声、全然聞かはらへん」


「コラァーッ」


突然先生の声がしたかと思えば、物凄い勢いで蝦蟇と…いや、二人で追いかけっこをしていた。


そっから、性懲りもなく喧嘩しはじめたから、必死で止めに行った。


『燐…頼むから喧嘩せんとってや?俺…喧嘩とか苦手やねん…』


「お…おう…」


それから坊は先生から注意、廉造と猫さんは燐に坊の過去、それと『青い夜』の話をしはった。


「いいかネ!基本的に蝦蟇は大人しい悪魔だが、人の心を読んで襲いかかる面倒な悪魔ナノダ!私が戻るまで競技場には降りず、蝦蟇の鎖の届く範囲には決して入らないこと!いいネ!分かったら以上!今行くヨ!子猫ちゃ〜ん!!」


「なんやあれ…!あれでも教師か!!正十字学園て、もっと意識高い人らが集まる神聖な学び舎や思とったのに…!生徒も生徒やしなぁ!」


坊の声は、昔っからよく通る気がする。いや、通る。


そのせいか、坊が怒鳴ると、やっぱり気が引き締まる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ