青祓 ver.

□第四話 気持ちの違い
1ページ/2ページ


「次って、体育の実技やんなぁ?着替えんとあかんな」


『そうやな…ありがとうな廉造!ホンマ廉造はかわえぇなぁ』


「なんでそうなんねん」


坊の冷静なツッコミはさておき、俺は着替えた後、坊とは別行動を取ることにした。


燐に会うために。


「り…燐…私と…」


「えっ!?」


噴水広場から聞こえてきたのは、同じクラスの杜山さんと、燐の声やった。


『燐?』


完全に聞こえていないようだった。顔を赤くして、固まっている燐をみた瞬間、胸が痛くなって、耐えられなかった。


「修造…?」


「えっ…修造くんが居たの?」


「多分…」


俺は、ひたすら走るしか出来なかった。


燐はただの友達の筈なのに、どうしてもあの表情が許せなかった。


『なにしとんのや…俺…』


「修造…?」


ふと、後ろから慣れ親しんだ声がした。


『廉造…』


「なんやえらい勢いで走っていったと思ったら、こんなとこに居ったんか?」


『今来たトコや』


「そか。修造、もしかして修造は、奥村くんが好きなんか?」


『…ちゃう。少なくとも今は、そんな気持ちや無いんや。…ただ、不安やねん。友達が、離れていきそうで。』
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ