小春日和

□噂の転校生
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『転校生?』

「ええ、転校生」

『3年生?』

「3年生」

『1学期の中途半端な今の時期に?』

「そう」


何度も訪ねる私に、委員長は気にすることもなく答えてくれた。


ちなみに、今はお昼ご飯の時間で、私と委員長は教室でひっそりと昼食をとっている。


本当はリョーマくんも誘いたかったのだが、リョーマくんは部活動の人たちと食べるらしい。


1番の親友としては切ないが、明日は一緒に食べる約束をした。


テニス部の人にばっかりとられてたまるかっというのが本音である。



「しかも、かなり可愛いらしいわよ?」

『それは噂のまとにするしかないね』

「でしょう。しかも、今日すでにテニス部の人と仲良くなって、お昼ご飯にお呼ばれしてるらしいわよ」

『ほう』



そう言って卵焼きを口にする私に、委員長は「全部兄貴情報だけどね」と付け足した。



委員長のお兄さんは、水谷 理さんと言う、これまた美人なお兄さんである。


ただし、推理オタクというかなんというか、色々残念すぎる人だ。


簡単に言えば、変人である。



ちなみに、委員長の名前は水谷 理子。

実に可愛らしいと思った。



『理のお兄さんが興味もった、ってことは、なんか変な事があるの?』


私がそう聞くと、委員長は「ええ」と頷いた。


「まず、同じクラスの不二先輩や菊丸先輩のこと、知ってる風だったって」

『え?知り合いなの?』

「いいえ、初めましてで自己紹介はじめてたそうよ」


ほう、と頷こうと思ったが、口の中に肉だんごが詰まっているせいで『ふぉう』という何とも間抜けな声が出た。


ちょっと恥ずかしい。


「(可愛い)……で、他にも馴染みすぎだとか、この歳で1人暮らしは変だとか。色々言ってたわね」

『でも、馴染みやすい性格の人なんていくらでもいるだろうし……1人暮らしも、まぁ探せばいくらでもいるよね』

「ま、元が細かい男だもの。仕様がないわ」

『ははは』



さらりとそう言って優雅にお弁当を食べる委員長に、私は笑った。



委員長は、どうやら理のお兄さんに厳しいらしい。


いやむしろ、私にゲロ甘だ。嬉しいからいいけど。




そのままその転校生の話題で盛り上がり、お昼ご飯の時間は過ぎ去っていった。



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