ひまつぶし

□良好な友好関係
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『ご、ごごごめん……知り合いに似てたから、つい……』


咄嗟にそう誤魔化すと、リョーマはふーんと言って秋穂をじっと見た。


特に疑っている様子もないリョーマに秋穂がホッとしていると、リョーマが唐突に「名前は?」と聞いてきた。



『え、あ、な、名前?えっと、宮野 秋穂……だけど……?』

「そ。俺、越前 リョーマ」

『あ、う、うん。よろしくお願いします』



突然の自己紹介に戸惑いながらもお辞儀をすると、リョーマは少し笑った。




「アンタ、変って言われない?」

『え?あ、あんまり言われないけど……どっちかと言うと、大人しいとか言われる』

「ふーん」



そのあと、SHRが始まるまで、2人はなんとなく話していた。









今日は入学式だったからか、午前中だけで学校は終わった。



結局越前くん以外とは話せなかったな……と秋穂は地味にショックをうけている。




「宮野、部活何入んの?」

『特に決めてないなぁ……。越前くんは?』

「テニス部」

『あ、それっぽいかも』

「何それ」



そう言ってリョーマは軽く笑い、秋穂もつられてくすくすと笑った。



「アンタ地味だし、なんか派手な部活入れば?」

『派手な部活って何……っていうか、私あんまり派手なの好きじゃないよ』



目立つのも好きじゃないし、と苦笑する秋穂に、リョーマは「それっぽい」と言った。




『というか、派手な私って想像できないよ』

「あぁ……確かに」



でしょ、と秋穂は軽く笑った。


その様子に、リョーマはふと思いついたように口を開いた。



「アンタ、始めどもってたのにもう普通だね」

『あー……ちょっと人見知りしちゃうんだ。馴れれば大丈夫だよ』

「俺にはもう慣れたんだ?」



そう言ってニヤリと笑うリョーマに、秋穂は微笑んで『うん』と頷いた。



『越前くん、初め怖い人かと思ったら普通に優しいし、ずっと話しかけてくれるから……』

「………、あっそ」



もう少し照れるかと思ったリョーマは、逆に秋穂のストレートな物言いに顔を赤くした。




幸い、秋穂は気付いていないようだった。


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