ひまつぶし
□愛する日常
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秋穂がふと気がつくと、目の前で泣き崩れている女の人がいた。
ふと、なんだか泣きたくなってきて、思いっきり声をあげて泣いた。
『ほぎゃあ!ほぎゃあ!!』
「良かったですねぇ、宮野さん。元気な女の子ですよー」
「ありがとうございます、ありがとうございます……っ」
……あー……なるほど。
秋穂は納得した。
どうやら自分は、今まさに生まれてきた瞬間らしい。
ビックリだ。こんあ冷静な気持ちでも声をあげて泣き叫ぶことができるとは。
「秋穂。今日からお前は、秋穂だよ……!」
「可愛い可愛い、私たちの子ども……」
―――愛されてるなぁ、私。
そのことを純粋に喜びながら、秋穂の意識はどんどん薄れていった―――。
『ママ、こえ、どこい運べば、いいのぉ?』
「まぁ、お手伝いしてくれるの?ちょ、いい子!!この子天才!さすが私の娘だわ!!」
新しいお母さんは、随分パワフルな人だ。
お父さんは温厚な人だが、両親揃ってかなりの親バカ。
ただ、愛されてるということはよく分かって、とてもうれしかった。
幼児特有の途切れた喋り方は、息がしにくいからのようだ。
前の14歳の時のように流暢にしゃべろうとすると、かなり息が苦しくなる。
『ママ、コップは?』
「あら、いけない。ごめんけど、机の上からとってきてるれる?」
『ん、いいよ!』
そう言って私は、机の上からコップをとってきた。
いらぬ話だが、ママさんは超美人だった。
パパさんはどちらかと言うと地味な格好よさを持っている。
私は、容姿は変えずにと頼んだせいか、あまり顔は変わっていない。
よくママさんに目元が似てるだとか、たまにする癖はパパさん似だとか言われるのは、神様がそう言う人を探してくれたからだろうか。
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