ひまつぶし
□さよなら、私の世界
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一通り泣きとおした秋穂は、改めて神様を見た。
神様は、秋穂を泣かしたことに以外にも罪悪感を感じて―――は、いなかった。
「ふ、ぁ………、あ。泣きやんだ?泣きやんだね?あーもう待ちくたびれたよー」
思わず絶句する秋穂に、神様はいっそ清々しい程の笑顔を浮かべた。
「何なに?ちょっとくらい良心痛んでるかと思った?ないない!」
『……サイテー……、』
ボソリと呟いた秋穂に、神様はケロリとした顔で「褒め言葉だね」と言った。
「じゃあ、とりあえず向こうに行ってもらわないと僕も困るわけだしさぁ?ちゃっちゃとしよう、ちゃっちゃと」
『人の人生こんだけメチャクチャにしといて……』
秋穂が恨みがましい視線を送ると、神様はくすりと笑った。
「違うね。僕が狂わしたんじゃない、彼女たちが君を狂わしていいって言ったんだ」
どう考えても責任放棄にしか聞こえない屁理屈を平気で言う神様に呆れながら、秋穂は黙って神様を睨みつけた。
神様は、全く気にした様子もなく、「特典の説明だけどね」と言った。
「特典、っていうのは……まぁ、なんだ。向こうへ行ったときにあるオマケサービス的な?」
『オマケサービス……?』
首をかしげる秋穂に、神様は「そうそう」と頷いた。
「彼女たちの「特典」を例えに挙げるなら、「容姿を変えてほしい」っていうのがあったな」
『容姿?見た目ですか?』
「うん、そう。「可愛くしてほしい」とか、「銀髪にしてくれ」とか」
『……銀髪はむしろ虐められそうですけど……』
「いや、それ頼んだ子なかなかの美人だったし、スタイルもよかったから似合いまくりでさぁ、いい仕事したなぁと思った」
ケラケラと笑いながら言う神様に苦笑しながら、秋穂は考えた。
『……他の、聞いていいですか?』
「ん、えっとねぇ……。あ、生活の保障をしてくれとかあったよ」
『なるほど……、』
「あと、頭を良くしてほしい、ってのと、逆ハー設定が欲しいってのがあった」
神様の言葉に、秋穂はますます悩んだ。
願い事は、6つできるそうだ。
これは武士の情けならぬ、神の情けらしい。
秋穂はしばらく悩んだ後、口を開いた。
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