ひまつぶし
□生贄の涙
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「はは、信じられない?でもね、生贄だって、別にとらなくてもよかったのかもしれないんだよ?
だって、彼女たちが自分の「願い」を我慢して、今まで通り暮していればよかったんだから。
僕だって、ちゃんと聞いたさ。「生贄が出るけどいいかい?」って!彼女たちの答えは―――、」
秋穂はそれを聞いて、深い悲しみに顔を歪めた。
『私には、その子たちがトリップするとか、まったく関係ないんですよね……?私…、帰れるんですよね……?』
祈るようにそう言う秋穂に、神様は無情にも、平然と否定した。
「まぁ関係はないんだけどね?もう3人の願いを尊重して、向こうに送っちゃったから。君には悪いけど、「生贄」として君も向こうへ行ってもらわなきゃ」
秋穂は静かに、涙を流した。
―――なんで、なんで、なんで………、
黙って泣き続ける秋穂を一瞥して、神様は口を開いた。
「……あの子たちには、それぞれ2つずつ向こうへ行った時の「特典」を与えてあげた。本当は3つあげられるところを、2つにした。だから君には、6つの願いを叶えてあげられる。大サービスだね」
『……家に帰りたい……です………、』
「却下」
秋穂は下唇を強く噛みしめ、いつまでも泣き続けていた……。
生贄の涙