ひまつぶし

□気にしないことにする
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上目づかいで訝しげにどうかした?と聞いてくるリョーマ。




秋穂はどう言ったものかと困ったが、やがて小さく口を開け、もごもごと言った。




『なんていうか……越前くん顔がきれいすぎて破壊的

「ごめん、意味わかんない」

『私もわかんない』




やがて、2人して噴き出し、しばらく笑っていた。













「―――ふーん……有野センパイ、ねぇ……?」

『あ、やっぱりあの人マネージャーだったんだ』

「やっぱり……?」



なんで知ってんの?と首をかしげるリョーマに、秋穂は慌てて『なんとなく!』とごまかした。





「……ま、いいけど。どう、あの先輩」

『うー、んー……。ち、中性的な顔で……美人で、格好良くて、可愛くて、きれいで……それで、……』




ちょっと怖かった、と顔を青ざめて言う秋穂に、リョーマは「ドンマイ」と言った。




「にしても、あの人そんなサドっ気があったんだ」

『サド……?ううん、あれはもうドがつくよ。ドサドだよ』

「何それ」



笑うリョーマに、秋穂も笑った。




なんとか先ほどからの恐怖から抜けることができたところで、秋穂はホッと息をついた。





これからどうしよう。見つかってしまった。出会ったらどうすればいいのか、まだ決まってなかったのに。





……なんて、一生懸命考えていた自分は、何だったんだろう。



秋穂は胸がすっとした。



どうでもいいじゃないか。





そうだ。私は、この世界に生まれてきたのだ。



あの人と関わる必要など、どこにもない。



強いて言うならば、モブだ、モブ。





私はモブキャラなんだから、有野先輩と関わるなんて、ありえない!!

きっと、顔すら覚えてないよ!あはは!






『平和だねー』

「なに急に」



変なの、というリョーマに、すっかり打ち解けた秋穂はなんでもないよ、と言って笑った。





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