ひまつぶし
□気にしないことにする
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出会ってしまった、出会ってしまった、出会ってしまった。
ああもう、なんて運の悪い!!
あの後。と、いうのは、秋穂が有野 流美さんと衝撃的出会いを果たしたあとである。
彼女は、散々生き生きとした顔で秋穂をなぶり、清々しい顔で颯爽と歩いて行った。
秋穂はと言えば、呆然自失。
……自失、は言いすぎにしても、ぽかんと口を開け、目を丸くしたまま固まっていた。
そのまま、秋穂は先ほどの有野 流美のことを思い出していた。
美少女とも、美少年とも言えそうな、中性的な顔。
色白に華奢な身体は、とても女性的だったが、鋭い瞳はとても格好良くて、形のいい鼻も口も、とても格好良くて、可愛くて、きれいだった。
『……まさしく、“ヒロイン”だ……』
秋穂の意味のわからない呟きは、誰に聞かれることもないままに、空気と化して消えていった……。
「なんで先に戻ったアンタの方が俺より遅いの?」
『大変申し訳ないことに、ちょっと人とぶつかってトラブってました』
「……何やってんだか」
呆れたように笑うリョーマに、秋穂も力なく笑った。
どこか遠い目をしているのは、まぁ仕方がないことだろう。
秋穂の元気がないのが気になったのか、リョーマは「他にもなんかあった?」と秋穂の顔を覗き込んできた。
秋穂は驚いたように目を見張り、やがて少々頬を染めて苦笑いした。
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