小春日和

□噂の転校生
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『おかいり、リョーマくん』

「おかえり、ね。ただいま」

『噂の転校生はどうだった?』

「弥生の方が可愛かった」

『照れるぜ』


私たちの会話に、委員長は「あたりまえじゃない」と言った。


「弥生より可愛い人、私見たことないもの」

『素晴らしすぎるよお姉たま』

「ありがとう」


……照れるぜ。



私がケラケラと笑うと、2人とも小さく微笑んだ。


うむ、和む。



「なんか、手塚部長が気に入って、そのままマネージャーになった」

「あら早い」

『スピーディーだね』



私は目を丸くして言い、委員長は訝しげに言った。


少なからず、驚いたということだ。



「可笑しいんだよね。みんな、あの人が笑ったら顔赤くしてんの」

「よほど可愛い人なのね」

「弥生の方が可愛い」

「だから、それは当然じゃない。前提として考えなさいよ」

『それはそれで私が恥ずかしいなぁ』




苦笑する私に、2人は素知らぬ顔で話を続けた。



「"本田 涼香です。よろしくね!"の笑顔でオチたねあの人たち」

『王道だね』

「王道過ぎてつまんないわ」


委員長の言葉に、私は思わず笑ってしまった。


らしいというか、なんというか。



『本田先輩って言うんだ?』

「うん。本人は名前で呼んでほしいみたいだけど」

「あら。そんなに親しくなったの?」

「全然?むしろ……」


そこで言葉を切ったリョーマくんは、疲れたようにため息をついた。


顔がいい人はそれすらも目の保養である。



「なんかあの人、苦手……」

「珍しいじゃない?初対面の人を苦手なんて」

『あれかな。センサーが危険察知したかな』

「何センサーって」



私の言葉に苦笑するリョーマくん。



しかし、動物は勘が鋭いっていうしな。リョーマくん猫っぽいし。



「ま、精々頑張りなさーい」

「うわムカつく」

『リョーマくん、頑張れー』

「ありがとう」



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