長編・中編・シリーズ

□I don't always make you happy.
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一人暮らしには広すぎる家の玄関を乱雑に開ける

花宮を久方ぶりに見ると彼はキョロキョロと内装を眺めていた

その姿に子供がかぶる

「ガキみたいだぞ」

弾かれたように俺を見る花宮に靴を脱がせて上がらせる

カギをかけてから家の中に花宮を入れてソファーに座らせた

握っていた手を解いてからキッチンにコーヒーを淹れに行く

戻ってきてコーヒー二つをテーブルに置いてから花宮の隣に座ると極自然にまた手を絡められた

両利きで何の問題もないため黙ってコーヒーを飲んでいると花宮もゆっくりコーヒーを啜った

ぼうっと虚空を見つめている花宮

覗き込むように見てみればしばらく虚空を見つめてから合った目が大きく開かれて

「うわっ」

大袈裟に飛び跳ねた

手に持っていたコーヒーが幾分か零れる

それを拭いてやると彼は気まずそうに俺を見てきた

握られた手に力が入ったのを感じた

「お前、猫かぶりかよ…」

「お前には言われたくないが」

「キャラ全然ちげぇ…」

「そんなことをいうなら」

そういって握られた手を彼の目前に上げる

「自然に手を繋いでくる甘えたなお前も十分キャラが違うと思うがな」

気が付いてなかったのか俺と手を見比べて顔が赤くなっていく花宮は自分からつないだくせに手を離そうとした

俺は痛くない程度に力を強める

離れないと見込んで俺を睨んだ花宮に俺は肩をすかした

「俺はお前から繋がれた手は存外嬉しかったが」

「は、はぁ!?」

青くなったり赤くなったり忙しなく顔色を変えていた花宮は握った手を見てから溜息をはいてもう一度隣に収まった

拗ねたように唇を尖らしてコーヒーを飲んでいる

俺はそれをじっと見つめていた

握られた手に無意識に力が入ったことで花宮はこちらを振り向いた

「…なんだよ」

コーヒーをテーブルに置きこちらを見た花宮の腕を引く

ソファーに押し倒された花宮は馬乗りになった俺を睨んだ

「おい、何のつもりだ」

「…………」

それには答えず形のいい薄い唇を親指のはらでなぞる

彼は身を捩り俺の下から出ようとしている

それを尻目に口に人差し指を突き入れた

「んぅっ!?」

驚く花宮を見ながら手で舌を押さえて軽く揉んだり引っ張ったり挟んだりしてみた

「ん、んっ、はっ、ん」

振りほどこうとした両腕は頭上でひとつに纏める

腕に力を入れてるのだろうがぴくりとも動いていない

次第に指の本数は増えていきついに彼の口端から涎が垂れた

首筋をつたうそれを舌で舐めとる

「…っ、ん、はっ、んっ」

荒い熱い息が手に触れるのも気にせずにいじり続ける

くちゅくちゅと部屋に音が大きく響く

彼の抵抗が次第に弱くなっていく

抵抗がなくなったころ俺は満足して手を離した

「は、はぁっは…はぁ」

荒い息を繰り返し肩で息をする彼はすぐに俺のことを睨んできた

「何の、つもりだっ」

離すたびにちらつく赤い舌が気になる

それが甘そうに感じる





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