長編・中編・シリーズ

□I don't always make you happy.
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「…何のつもりか」

「そうだよ、嫌がらせのつもりか?」

「……嫌がらせ?」

首を傾げると彼は怪訝そうな顔をして俺を見た

頭上で纏めた腕を離してやると彼は俺の頬に触れた

そしてそのまま頬を引っ張る

「お前は俺が嫌いだからな、だから嫌がらせでもしたんだろ」

何だか苛ついている彼

泣きそうに歪んだ顔

思いっきり引っ張った頬から手を離して彼は再度俺を睨み始めた

未だ頬がひりひりする

顔を痛みに歪めながら俺も口を開いた

「嫌がらせのつもりはない」

「…………」

「それに案外気持ちよかっただろう?」

「なっ………」

「顔が赤いが図星か?」

「うっせぇ!黙れ!!」

「相分かった」

以降口を開かないでいると彼は不快そうな顔をした

さっきからその顔ばかりしている

それでも黙っているとこちらに伸ばされる指

指の動向を見守っていると彼は俺の口に指を入れてきた

そのまま舌を触り引っ張ってくる

「ん………」

漏れた声に気を良くした彼はそのまま舌を挟んで揉みだした

「はっ、はぁ、ん」

悪い顔をしたまま下で遊ぶ彼を息を吐きながら眺めた

上顎をなぞる指に肩を揺らすと愉快そうに彼は手を口から離した

「気持ちよかっただろう」

先程俺が彼に投げかけた言葉をそのまま買うし笑う彼を息を整えながら見る

息が整うと俺は彼に顔を寄せた

「え、何……」

言葉は飲み込んだ

開いていた口に舌を押し入れて上顎を舌でなぞると彼は大げさなくらい肩を跳ねさせ仰け反った

歯列をなぞってから逃げ惑う舌を掬って絡める

「ふぅ、…んっ」

下で撫でて口で吸ってから自分の口に招き入れて軽く噛む

「はっ……っ、」

口を離すと舌に白い糸がつたいそのままぷつりと切れた

顔を赤くしてこちらを蕩けた顔で見てくる花宮は可愛い

可愛い悪童だ

俺はフレンチキスを唇に落としてから彼の上から立った

そうして手を伸ばす

彼は警戒せずにその手をとり身体を起こした

その手ですぐに冷め切ったコーヒーを手に取り飲もうとしたけどそれを取り上げる

「もう一度温めてくるから、夕食もいる?」

呆然とこちらを見ていたけど軽く頷いた彼を見て俺はキッチンに引っ込んだ

「何なんだ、あいつ…」

顔を赤くさせてこちらを見る花宮には気が付かなかった







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