となりの席の
□気付かない感情
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「しーずーおーくん!!」
私は授業が終わってすぐに授業中にも堂々と寝ていた静雄くんに声を掛けた。
「ん…」
「次 体育だよー」
この前起こったよくわからない騒動はそのままよくわからないままになっている。
折原くんの事を聞こうとすると静雄くんの機嫌がすこぶる悪くなるからである。
まぁ今日も平和で平凡なので聞かなくてもいいかなぁ…なんて思ってる私はよく能天気と言われます
「あー…体育って何やんの」
「体操とボール投げだって
入学したばっかりだからあんまりハードなのはやらないみたいだね
私走るの苦手だからマラソンとかじゃなくて助かるよー」
「…………出たくねぇな」
「え
ええええええええええええ!!!!」
「いやいやいや、そんなに驚く事じゃねぇと思うんだけど」
驚く!驚くよ!大変だ大変だ!!静雄くんがサボタージュという不良さんへの道へ一歩ふみだしてしまうかもしれない!!お母さん悲しい!!
「だってだって静雄くん運動得意そうなのに何で出たくないんだろって!!あ、体が硬いとか?」
「あー…うんまぁ そんな感じ
サボるわけじゃねぇから…さっさと行かないと着替える時間なくなるし」
何か 濁された感が…
「うん。」
この間から…静雄くんは何を考えてるんだろう、って
気になるなぁ…。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「はい、じゃー体操するからペア作れー」
…先生、組考えるのめんどくさいからってその台詞は良くないと思いまーす。
まだ慣れてないのに自分でペア作るって結構大変だと思いまーす!
「(あ…)」
頑張って自分もペアを探していたところ、男子の列が目に入った。
皆どんどんとペアを作っているのに静雄くんの周りだけ誰も寄りつこうとしない。
「(新羅くんは…体育あんまり出ないし)」
別に 男女が組んじゃいけないなんてルールないし…。
「し ず お く んッペア!一緒に組も!!」
「…………」
声を掛けた こっちを見ているということは認識はされている。
だがしかし 無反応とはどういうことだってばよ。
「あ……えーと
ごっごめ…女子となんか嫌だよね……イキナリごめ」
「いやじゃねぇ、けど…」
静雄くんは何やら照れてるような、言いづらいような顔をしている。
「いいのかよ俺で…怪我すっかもしれねぇし 男女で組んでる奴なんて他に…」
どうやら返事がなかったのはその事があったから静雄くんがフリーズしてしまったらしい。
だけど私はそんな心配はしてなかった、静雄くんはこうやって優しいから。
「私は静雄くんがいいんだよ 一緒にやろ?」
「………おう」
静雄くんは照れたような顔をしてペアを組んでくれた。
「まず柔軟体操だね」
「ん…じゃあ俺が先に後ろから押すか」
「らじゃッ!よろしく」
私が最初に静雄くんの前に座って、背中を押してもらう事になった。
「私ね私ね!柔らかさには自信あるんだよっ!ホラッ」
「お、すげぇ曲がる 、な…」
「?」
何だか…静雄くんの喋り方がぎこちないし、あんまり押す力が強くないっていうかほぼ押されてる感じがしないんですけど…。
「しずおくん?もっと力入れて押しても平気だよ?」
「あ、お…おう…」
「(あ…ちょっとずつ力入って来た…遠慮してるのかな)」
「(…ッなんか…折れちまいそう…ッホントに大丈夫なのかコレ)
!!!」
「?どったの」
静雄くんが急に手を放したので何かあったのかと思って振り返っても静雄くんは真っ赤な顔をして黙ってるだけだった。
「や…そのっ
なんでも……ねぇ…」
「??」
「(ブ…ブラの…線がっ…み、見え…ッ)」
「…? あ、交代する?今度は私が押すよ」
静雄くんが真っ赤になったまま動かなくなってしまったので押す役を交代した。
「ふんぐっ!」
「うぉ」
「静雄くん…かたッ…力いっぱい押してるのにー!」
「あー…(そりゃそうか…)」
「これでどだッ!!」
「!!」
私は静雄くんを押す為に静雄くんの上に乗っかった。
「おまッ!(ッ胸当たって…ぁあああぁあぁあ!!!!!)」
「おわッ!ごめん重かった?」
静雄くんがイキナリ起きあがったので尻もちを付いてしまった。
やっぱり乗っかるのはダメだったか…。
「や…そうじゃなくて、だな…ッ」
「?」
静雄くんはまた真っ赤になって視線を合わせてくれなくなった。
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