となりの席の

□桜が舞うなかで
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「…ここは誰、私はどこ」


お決まりのボケをかましながら一人、見慣れない道を歩いていた。


道がわからない、見慣れない道

所謂、迷子である。

早起きをしてしまったのが原因だ。

ちょっとばかし早起きをしてしまったから寄り道しながら登校しようと考えたはいいが


寄り道どころかいろんなものに気をとられていたらいつのまにか迷子になっていた。


「誰よ早起きは三文の得なんていったのは…」


意味のない八つ当たりをしながら道を探す。

ちなみに三文は今のお金に変えると150円くらいである。



道に迷ったから、と道を聞こうとしても誰も居ない。


「裏道にきちゃったのかな…」


道に迷うわ道を聞こうにも誰もいないわで千歳は少しくじけそうになった。


じっとしてても仕方が無いのでフラフラと歩く。



すると前方の曲がり角から喧嘩の怒号らしき叫び声が聞こえてきた。


「え、何!?」


叫び声に聞こえた曲がり角に近づいてそっと様子を覗く。


「どこの誰だか知らねぇがよぉ手前らのせいで完璧遅刻じゃねぇかぁああああ!!」


「(おわっ)」


そこには隣の席の彼


平和島静雄くんは大勢で攻撃してくる他校の見るからにガラの悪い生徒を圧倒的に倒していた。


「(わっわっ凄い強い!)」


千歳が静雄をぼうっと見ている間に不良たちは全員倒れてしまっていた。


パッと静雄に振り向かれ、目が合った。


「あ、」


「…なんだ、クラスの奴か…俺に何か用か?」


「え、あ!う…」


―わ!話しかけられた!ななな何か喋らないと!なんか!なんか!


「こ、こここ………ここってどこですかッ?」


「…………迷子か?」


「はい………」


恥ずかしい。

そんな想いが顔の熱を上げて真っ赤になりながら俯いてしまう。


「…あー…どうせ一緒のとこ行くんだし、一緒に行くか?」


「え、わ!いいの!?ありがとう!!」



千歳はパッと顔を上げて嬉しそうに笑った。











桜が舞うなかでT
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