となりの席の

□隣の席の第一印象
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この春、東京の学校へ入学することになりました。


池袋にある来神という高校。


「ほえー…若者がいっぱい…」


まあ、そういう自分も若者なのだが

わらわらと居る人、人、人に自分の存在を忘れてしまう。


「憂鬱じゃないハルヒでも自分のちっぽけさを感じるわコレは…」


桜がひらひらと舞っている道をドキドキしながら通学する。


東京は生まれて初めてというワケではない


小学、中学の頃に来たことは有るもののすべて団体


ちょっとした田舎から飛び出して東京の学校に入学した私は個人行動にある。


「(ほわぁああ!緊張するぅううー!!自己紹介の時とかなんて言えばいいんだろ!

変な人に絡まれたりとかしないかな!髪の毛染めてる人とか多いのかな!)」


まだ学校にも着いていないのにドキドキそわそわしてしまう。


「(…た、楽しめればいいな。一度きりの青春だもの!)」


むん、と上を向いて学校までかけ足をした。

















そわそわ


一人ずつ名前を呼ばれて自己紹介をしていく。


そわそわ


「次ー−…」


どんどんと自分の番に近付いてくるとそわそわドキドキが増して行く。


「(落ち着いて落ち着いて…変な子だと思われないように

失敗しないように、あーダメ緊張するよぅ!

えと、掌にひとって書いて飲み込んで…あれ、ひとってどう書くっけ…あーダメ落ち着いて)」


「次ー春日ー」

「はっはいいっ!」


声、裏がえったー!!!!!


「春日千歳、です!ちょっと田舎から来ましたが、皆と仲良くできたら嬉しいです!」


ぐらぐら、どきどき

自分が何を言ったか忘れそうなくらいどきどきで頭が真っ白になって倒れそうだった。


「次ー−…」


自分の紹介が終わり息が抜けた。


効果音をつけるなら“ぷしゅー”と空気が抜けて力が緩む音。


緊張が溶けたからかさっきよりも周りが見える。


さっきまでは本当に自分の汗ばんだ手しか見えていなかった。


「(そういえば隣の人ってどんな人だろ…)」


そんな自分の隣の席の人の第一印象は


「(わぁー金髪!)」



綺麗な金髪の男の子だった。

機嫌のちょっと悪そうな男の子。


「(染めてる…ん、だよね。綺麗に染まってるなー)」


失礼とは分かっていながらもまじまじと見てしまう。


「(こういうのって生え際が黒くなっちゃってプリンみたいになるのが多いのにすごいなぁ


しかもカッコいい…普通に金髪が似合う。すごいなぁ…都会にはこんなかっこいい人いるんだなぁ…)」


「…………」


さすがに気づかれたらしい、金髪の人はこっちをじろりと睨んできた…

じろじろ見てたからだよね…ごめんなさい。


「何みてんだ」


「き、金髪!」


「あ?」


「き、綺麗で、似合っててカッコいいな…って」


上手く喋れない。


こっちに来て、初めて喋ったクラスメート


中学の時だって男の子とあんまり喋ったことがない。


だからか、緊張して緊張して


ただ思った単語を口にしただけで


言った後から恥ずかしさと後悔がすごい速さでやってきた。


「ご、ごめ…」


「そうかよ」


謝ろうとしたらそう返ってきた。


ふぃっと顔をそむけられてしまったけど、なんか顔が赤い気がするよ金髪くん。


照れ?デレ?照れ隠しなの金髪くん!


見た目より不良っぽい人じゃないのかな。


ああああ、髪の毛を染めてる=不良って方式を頭から無くさないと!


東京はあたりまえに染めてる人の方が多い。


「(はやく馴れなきゃあ…)」



まだみんなが自己紹介をしてるなか



ふん、と拳を作って気合を入れたのだった。










隣の席の第一印象
 

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