池袋最強とトリップ少女
□知らない人にはついてかない
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「やあ、こんにちは」
「……。」
今、私の目の前にはファーコートを着た黒い変人が空気と話している。
私が話し掛けられたんじゃない。
そんなハズがない!!!
私は自販機でココアを買おうとしていただけだ
ホットかコールドか今日はちょっと暖かいしコールドにしようかなぁなんて考えながらね!
無駄に美形な黒い人になんて声を掛けられてない!!!
きっと!むしろそうであってください。
「聞こえてる?キミに言ってるんだよ」
ザ・ワールドォオオォオ!!!
時間止まれ時間止まれ時間止まれ!!!
こんなに必死に願ったのはこっちに来て初めてだ
「(よし逃げようすぐ逃げよう絶対逃げようハイ逃げよう)」
そんな準備で大丈夫か?
大丈夫だ問題ない!!!!
「おぉおおぉぉおっとぉー!!!用事を思い出しぁああ!!!」
「待ちなよ」
逃げ出そうとした瞬間腕をつかまれた。
フラグを立てた所為だろうか畜生。
「HA☆NA☆SE!!!」
「別に怪しい者じゃないよ
話があるだけだから」
眉目秀麗なファーコートを着た人物はにっこりと笑いながら言うが
腕を放す様子は全くない。
「いや見るからに怪しいですって口車に乗せて売り飛ばしたりしそうですって
だって卑猥な雰囲気が漂ってるもん!歩く18禁て感じだもん!!!」
「やだなぁ…そんな事しないよ
あぁ、そうだ標識が当たった所はもう大丈夫?」
「………!(こいつかあん時ご愁傷様とかいいながら合掌しやがったの!!!)」
「何か飲もうとしてたんだろう?
立ち話も何だし、喫茶店で何か飲みながら話そう」
「(新手のナンパのようだ)…イヤです」
「やだなぁ、ナンパじゃないよ」
「心読むなよ」
一応年上だからと思っていたけど敬語使いたく無くなってきた。
「顔に出てるんだよ」
一見、友好的な笑みを浮かべながらクスクスと笑う。
「……………」
だがその笑みは彼の性格を知っている私にとって警戒心をより強くする物でしか無かった。
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