小さな物語

□甘えん坊
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「遅れてごめん…って律だけか?」
「私だけだったら嫌なのかよ」

入ってくるなり周りを見渡し長椅子に横になって雑誌を見ていた律に問いかける澪

「そんなんじゃないけど、他の皆は?」
「唯は両親が帰ってくるから休むってさ、紬と梓は掃除当番で遅れるって」
「そっか…」
「うん」

しばらくの無言。
澪は黙ったまま、横になっている律の前に立つ。

「隣いいか?」
「ん?うん」

そう言って律は体を起こし、置きっぱなしの他の雑誌も澪が座れるように片付ける。

「ありがと。」
「ん…」

また暫しの無言。

「さっき読んでた雑誌一冊貸して?」
「ん?これでいい?」
「うん。ありがと」

少し時間がたった後、雑誌を読み疲れたのか律は雑誌を鞄に入れた。

「もう全部見たのか?」
「いや、眠たくなったからやめた。」
「そういうことか」

そういうと澪は律らしいとクスクス笑った。

「そこ笑うとこじゃないだろー」
「ごめん。ごめん。」
「なぁ澪」
「ん?」
「膝枕して?」
「えっ?」
「今2人だけだしいいだろ?」
「…わかった。いいよ」
「わーい」

まだ雑誌を読んでいる澪の膝に律は頭をのせた。

「みーお」
「なんだ?律」
「何もな〜い」
「ったく。」

子供のように無邪気に笑う律に、澪は呆れたように笑った。

「ん?律?」
「…み…ぉ」
「寝たのか。って寝言でも私を呼んでるのか…」

膝の上で幸せそうに眠る律に澪はそっと頭を撫でて雑誌に視線を移した。


END



《あとがき》
今回の話はいつもと雰囲気を変えて書いてみました
最初は律視点でいくつもりだったんですが、あまりにも書きにくかったので第三者目線という形にしました。
そして、今回は時間経過の描写を何回か入れてあるんですが、そのへんもいつもと違う作品にしたかったからです。
いつもと雰囲気違うなぁ程度で読んでくれたら幸いです。
ではまたお会いしましょう

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