小さな物語

□赤らめた顔
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「よし」

気持ちが高まっているのがわかる
澪との初デート
ただそれだけの理由が私の心を踊らせた。

「あれ?姉ちゃんどっか行くの?」
「うん。デートにな」
「はぁ?姉ちゃんが!?
デート?誰と!」
「そんなに驚くことじゃねぇだろ…。
っとこんな時間じゃん!じゃあな聡」
「ちょっ!」

家を出て、澪の家に向かう。
澪の家に着くとすでに澪が外で待っていた。

「よっ!早いじゃん」
「お前が遅いんだ」
「そんなに遅れてないじゃん!」
「お前、自分が昨日言った言葉覚えてないのか?」
「何が?」
「時間。
もう少し早く集合しようって言って早めただろ!」
「あっ!!」
「ったく」

呆れる澪を宥めながら、駅前のゲームセンターへ向かう。

「とりあえず、プリクラ撮ろうぜ〜」
「えぇ〜。恥ずかしいって」
「いいだろ。2人っきりなんだからさ」
「2人っきり…」
「澪さん?おーい」

顔を真っ赤にして俯いている澪を引っ張り、プリクラ機の中に入る
お金を入れて、適当なポーズで撮っていく。一枚撮り終わったところで澪も諦めたのか、ノってくれるようになった。

『サービスショットだよ』
「おっ澪!
サービスショットだってさ、どんなポーズにする?」
「適当でいいんじゃないか?」
「じゃあ…」
「律?ちょっ近t…ん」
「…」

すべて撮り終わり、落書きコーナーに行こうとした私の頭に澪の拳が落ちる

「いってぇ〜」
「馬鹿律!
きっ…キスするなんて聞いてないぞ!」
「言ってないし」
「〜!!」
「まぁまぁ落ち着けよ。チュープリなんて、カップルだったら誰でもしてるって。
てゆーか、澪は嫌だったのか?」
「えっ?」
「私とのキス」
「違っ!!あっ…あんな形でされたのが…その…」
「澪…」
「ん?」
「っぷ♪顔赤いぞ」
「〜。誰のせいだ」
「あいたー」

殴られたところを擦りながら、落書きを済ましていく。
改めて見ると、チュープリって恥ずかしいな…

「次あれやろうぜ!」
「太鼓の達人か…いいぞ」
「ドラマーの力見せてやる!」
「いつも私に負けてるくせに」
「チッチッチ。
今までの私とは違うのだよ澪ちゃん」
「誰だよ」
「今新たに生まれ変わった田井中律の力受けてみよー」
「律〜。どの曲にするんだ?」
「って放置かよ!」

で…結果は。

「負けた…。」
「お前はゲームでも走るんだな」
「うるせぃ!」
「はいはい。ごめん、ごめん」
「う〜澪の馬鹿!!」
「わかった」
「くそー!もう一回だ澪!」
「いや、1人でしろよ」
「お前に勝たなきゃ意味ないの」
「わかったから押すな!」

「燃えた…、燃え尽きたぜ…真っ白にな…」
「なぁ律。
もう気ぃ済んだだろ?
そろそろ、ご飯食べに行かないか?」
「ん?そうだな、よーし、飯喰って忘れるぞー」
「なんの意気込みだよ…」

澪の手をひき私達は、とあるハンバーガー屋に向かった。

「旨い!!」
「ほんと子供みたいだよな」
「誰が子供だ」
「そういう意味じゃないよ。子供みたいに無邪気で可愛いって意味だよ」
「うっ…」
「どうした?律、顔赤いぞ」
「うるせぃ…」
「さっきまでのお返しだ」
「くそー。澪のくせに生意気だ」
「どういう意味だよ」
「ふん」
「律?」
「…」
「?」
「行くぞ」
「あっあぁ」

帰り道
私は澪より2、3歩前を歩く。

「律?何怒ってるんだよ」
「別に…怒ってねぇし」
「怒ってるだろ」
「澪…」
「なっなんだよ」
「好き…」
「なっ!!おっお前急に!」
「澪は…私の事好き?」
「えっ?うん。当たり前だろ」
「そっか…」
「うん」
「澪一つ言っていいか?」
「う、うん」
「澪…顔赤いぞ?」
「!!律お前っ」
「へっへ〜ん。
やっぱり澪はこうじゃないとなぁ」
「り〜つ〜」
「あはは。わりぃわりぃ。
でも、好きっていうのは本当だよ?」
「えっ?…ん」
「へへ。こういうキスなら良いんだろ?」
「…バカ律…」
「バカっていう方がバカなんだぜ?」
「…バカ」
「はいはい。」

真っ赤に染めた顔の澪をそっと抱き締めた。その時自分の顔も赤く染まった気になった。END
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