小話 6
□裸の付き合い。
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(※サッチ)
(※ランダム表示中)
「…ふう、スッキリしたー」
栓を捻ってシャワーを止める。
トレーニングして汗をかいた後のシャワーは格別だ。
トレーニング室にもシャワーは備え付けであるけど、野郎共に混ざって浴びる気はない。
女用のシャワー室は無くてお風呂だけだし、ここからあっちのお風呂まで行くのは面倒だ。
後でお風呂には入るとしても、汗を流すだけならシャワーで充分！
ここは少し離れてるから人があまりこないし、前に一回使った時も貸し切りで余裕だったしね。
「よし、さっさと出よう」
トレーニング後は皆だいたい備え付けの方に流れ込み、こっちまで来る人は少ないけど…全く居ないというわけではない。
混んでいればここまで流れてくるので、のんびりしていられない。
個別にドアは付いていても、人が入っているのが解るように足元と頭上は空いている。
私の背丈だと顔は見えなくとも足首のあたりまでは見えるし、おまけに男用だから鍵などかからない。
タオルでガシガシと適当に髪を拭いて、個室のドアを開けたところだった。
…脱衣所に続くドアが開いた。
「「……………………」」
ドアを挟んで固まる私とシャワー利用希望者。
「おいおい、ここで何やってんのよ？」
「……うげぇ、サッチ隊長！！」
お風呂と違って持ち込める道具は少なく、Myタオルと石鹸、それを入れる洗い桶のみ。
服はもちろん脱衣所の籠の中。
……お互い、全裸である。
焦ってタオルで身体を隠したけど、タオル小さいよ！！
バスタオル邪魔だしなー、なんて思ってフェイスタオル持ってきた私のクソ馬鹿！！！
「少しは遠慮してくれませんかサッチ隊長。見過ぎです！！」
胸と股間は辛うじて隠れる。辛うじて！
睨みつけたけど、めっちゃくちゃいい笑顔でサッチ隊長は上から下まで見てくる。
そこに重なる悪夢。
……数人の話し声が聞こえてきた。
「…っ！？」
やばい。そう思った私の二の腕を、サッチ隊長の手が掴んで引っ張る。
あっという間にシャワー室の一つに連れ込まれた。
「あれ、サッチ隊長！」
「隊長もあっちのシャワー使えなかったんすか？」
…間一髪！声からして三人のクルーがシャワー室に入ってきた。
「そー。あっち混み過ぎでゆっくり出来ねえじゃん？」
サッチ隊長は私と違ってうすらデカイから、個室のドアからも頭が余裕で出る。
ドアを挟んで話しかけてきたクルーにヘラヘラしながら答えた。
………どうしよう。
ドアの中で私は洗い桶をひっくり返し、その上に乗っかっている。
何とか外側から私の足は見えないけど、狭い個室の中で全裸のサッチ隊長と二人きりである。
「…でさー」
「ぶははは！」
〜〜お前ら喋ってないでさっさとでてけ！！！
……ていうかサッチ隊長、股間こっち向けんな！あとこっち見んな変態！
もう私お嫁に行けない。ここでこのまま汚されるんだわ…。だってあのサッチ隊長と産まれたままの姿で個室に二人きり！！
乗った桶が壊れないことを祈りつつ、桶の上でしゃがんで肌が少しでも見えないようにしつつ、ひたすら耐える私。
ついでに心の中で必死にオヤジに助けを求めた。
「…サッチ隊長、シャワー浴びないんすか？」
「何やってんですか、シャワーも使わないでニヤついて…」
本当にそうだよね！
ちょっとは誤魔化すのにシャワー出すとか洗う真似するとかしてよ！
ドアに近いところで聞こえたクルーの怪しむような声に思わず身が竦む。
「んー。なんかちょっと……シコってた？興奮してきて、つい」
ドアに手を乗せてクルーに向かってサッチ隊長はそう言った。
クルーが黙って離れた気配がした。
だよね！私も今すぐ離れたい！
誤魔化すのにそう言ったのか、通常営業でアレなもんで、判断が出来ない。
脱衣所のドアが開く音がして人の気配が遠ざかる。
…お願い置いていかないで！！と叫ぶところだった。
「…さて、俺もシャワー浴びてえんだけどなァ」
「私も出て行くので思う存分どうぞ」
「お前、お礼に俺の身体くらい洗ってくれるよな？なあ？カワイイお手手かお口が良いな〜」
助けてやったもんなー？と続く当てつけがましい言葉にはっ倒してやろうかと思ったが、あいにく全裸だ。下手に動くと見える。
しゃがんだまま俯いて唇を噛む。
睨んでやりたいが上を見たら、間違いなくサッチ隊長の全裸があますところなく目に入る。
「…バーカ。冗談だよ、お前もうこっちのシャワー室来るなよ」
「？！」
頭からバスタオルが掛けられた。
サッチ隊長が持ち込んだものだろう。
「後ろ向いててやるよ。10秒だけな、…早く行け」
体に巻きつけて減っていくカウントの中、脱衣所に走った。
気紛れな
変態紳士。
(うわ、何企んでいるのかな…怖っ！)
(くそ、マジで勃ったじゃねえか)
拍手をありがとうございました！
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