小話2
□気になるあの子。
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(ライブ帰り/THATCH)
(※現パロ)
ああ!今日のライブは、ほんっとに最高だった!
今夜はお目当てのバンドを仲間のエースと見に行ったのだ。
新曲披露に、ダイブにモッシュ!テンションは上がりっぱなし。
帰り道はエースと今日の感想をとことん語り合いながら夜道を歩いていた。
「やっぱ良いよなぁ、ギター最高だった!」
「ってか、5曲目!!」
「ああ、あれな!俺まじ鳥肌たったし!」
「私は泣いたね!」
「おう見てた。お前、鼻水出てたぞ」
「嘘!」
「ウソ〜!出てなかった!」
そうやって歩いていると、この時間にやっている唯一の店・コンビニが闇夜に光って見えた。
「悪ィ、ちょっと便所」
「あいよ」
エースがトイレを要求したのでコンビニに入る事にした。
エースはトイレに直行したけど、私は店の外にあった『モノ』に目を奪われた。
左右確認、店内確認………人は居ない?かな、よし!
私はその『モノ』にそっと近寄る。
そこにあったのは大型バイク。
原付き、中型などオモチャだ!やっぱりバイクは大型でしょう!
しかもこのバイクは『イージーライダー』のようなでかくて存在感とロマンの詰まったハーレー!!
夢だよねぇ、いつかこういうバイクで北海道とかまで旅したい!大型の免許ないけど!
ああ、暗くてよく見えないのが残念……。
バイクを見ていた私は肩にぽん、と手を置かれ振り返った。
エースかな?
私は『エース、トイレ長いよ』と言うはずだった。
「よう、お嬢ちゃん。俺のバイクに見とれてんの?」
私は固まった。
居たのはエースじゃなかった。
夜目にも眩しい、新品みたいに傷一つ無い真っ白なライダースジャケット。
それにダメージ加工のデニム。
いやそれはいい。
うん、ロックだよね。
ちょっと怖いけど人を見た目で判断しちゃいけないよね!!
「バイク好きなの?」
話し方は優しいし、この人何か凄いニコニコしてるし。
うん、悪い人じゃないのかも、そうかもしれないよね!
「家どこ?乗っけていってやろうか?」
「…ご、…ごめんなさい…」
「はは、何で謝ってんの?面白ェ娘だな!」
…うわあああああああ!
やっぱり無理!
無理無理無理無理無理ィ!!!
怖いよぉぉぉぉぉぉ!
だってリーゼント!今時リーゼント!
なんでこの人リーゼントなの?
どうしよう、マジ怖いよエース何してんだよ!踏ん張ってんの?!早く来て!連れ去られる!殴られる!いやシメられる!!
身体を固くする私に、なおもリーゼントが絡んでくる。
「おーい、……あ、もしかして俺、超ビビられてる?」
「………いえあの、ホントすいません、勝手にバイク見てすいません」
とりあえず謝ってしまう私に、リーゼント頭の人は困ったように頭を掻いた。
「弱ったな、ビビらせたいんじゃねぇのによ……あ、時間切れだ」
「はー、スッキリした!オッス、サッチ!首尾はどうだった?」
リーゼント頭とエースが何か知り合いっぽい!
2人は顔を合わせてすぐ言葉を交わす。
「……エース〜〜〜〜!」
それに安心して私は思わずコンビニから出てきたエースにしがみつく。
良かった、もう犯されるかとおもったよ!
「おわっ!何だよ!乳でも揉まれたか?」
「エースお前、今俺が凄ェ誤解されてんだよ。こんなにジェントルマンなのによ〜!つーか、お前の悪い口はお仕置きだな〜!」
サッチ、と呼ばれたリーゼント頭はエースの頬っぺたを掴んで引っ張った。
「いでででででで!アンタがさっき便所でコイツと話したいって言うから、気をきかせてわざわざ便所で粘ってやったのに!」
しくじってんじゃねェよ、と、エースが頬っぺたを擦りながら言った。
……………は?
私と?
2人で話したい?
何で?
「馬鹿、お前……ッ!」
サッチさん、が、狼狽えて私を見てから頭を抱えてしゃがみこむ。
「あ゛〜〜〜…、いや、あのですね」
夜中のコンビニ、人影はなく私達3人だけが佇んでいる。
静かな夜に、サッチさんの声が小さく響く。
ぶっちゃけ
一目惚れです!
(えーと…お嬢ちゃん、とりあえず友達からってダメかな?)
(ぶははははは、サッチ凄ェ女たらしの癖によ!なんかしおらしいのな!)
(……女たらし…)
(いや、違うから引かないでくれ!エース手前ェまじ止めて!俺が更に悪印象!)
拍手ありがとうございました!
→(エース)